不動産ファンド「ホテル取得」の投資戦略が鮮明に インバウンド回復と物価高が潮目を変えた

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きっかけはなんといってもインバウンドの増加だ。観光立国の政策や円安で訪日外国人の数は急増。コロナ禍も乗り越えられたホテルは業績も急回復している。「ドーミーイン」などを運営する共立メンテナンスは2023年度、過去最高の営業利益を記録した。

ホテルはインフレに強い資産ともいわれている。客室単価は毎日変動するため、物価が上昇すれば客室価格を上げればいい。不動産投資ファンドがほかに保有しているオフィスビルやマンションなどに比べると価格転嫁がしやすい。インフレ下では、ホテルへの投資は理にかなっている。

運営次第で資産価値は上げられる

「少子高齢化でGDPが伸びない日本で不動産を持っているだけでは、徐々に価値が下がってしまう。運営に長けていれば、資産価値を上げることができるため、7~8年前からホテルなどホスピタリティ部門に注力してきた」

そう話すのは、スターアジアグループの共同創業者でマネージングパートナーを務める増山太郎氏だ。スターアジアはファンドでありながら、傘下には東証スタンダード市場上場で宿泊特化型ホテルの運営会社であるポラリス・ホールディングスを持つ。

スターアジアは直近だと今年5月に、宿泊特化型ホテルの「ホテルウィングインターナショナル」を運営するミナシアを買収した。売り上げ規模が拡大すれば客室清掃費用やアメニティの仕入れなどの価格を抑えることができ、より高い収益を生み出すことができる。

既存物件を買収し改修などで付加価値を高めて利益を得るというケースはさらに増えると予想される。というのは、ホテルは建築コストの上昇で新規出店が難しいからだ。ファンドによるホテル争奪戦は今後も繰り広げられることになるだろう。

星出 遼平 東洋経済 記者

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ほしで・りょうへい / Ryohei Hoshide

ホテル・航空・旅行代理店など観光業界の記者。日用品・化粧品・ドラッグストア・薬局の取材を経て、現担当に。最近の趣味はマラソンと都内ホテルのレストランを巡ること。

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