不動産ファンド「ホテル取得」の投資戦略が鮮明に インバウンド回復と物価高が潮目を変えた
「REIT(不動産投信)はファンドなどがバリューアップした資産の売却先となってきた。今回のようにファンドがREITから物件を取得するという逆の事例は珍しい」と沢柳氏は指摘する。
REITが保有するのは基本的にローリスク・ローリターンの安定資産。そのために割安で売り出されることはあまりない。割安案件を狙う投資とは一線を画す案件という点にも沢柳氏は着目している。
BGOは本町ガーデンシティを取得した狙いについて次のようにコメントする。「大阪はインバウンドが多く、成長性が見込みやすい市場であることに加え、セント レジスのような超高級ホテルが多くない。これまで改装投資などが抑え気味だったので、改修により客室単価の上昇が見込める」。
積水ハウス側も思惑が合致したのだろう。ローリスク・ローリターンの運用が基本のREITでは、積極的な改装によって客室単価の上昇を狙う「攻めの投資」は難しかった。積水ハウスの事業戦略も、オフィスビルやホテルの領域より、強みを持つ住居を強化するほうへ傾いている。
成長ストーリーが明確化
BGOは今後についても、「成長戦略が描けるラグジュアリーホテルの案件があれば取得していきたい」と積極的な姿勢だ。
2023年にBGOが「リーガロイヤルホテル(大阪)」を取得した際、売却したロイヤルホテルはリリース文を発表した。そこには、BGOが国内ホテル市場に3000億円超を投資する計画だと記されている。
リーガロイヤルホテルの客室やレストランなどの改装に、BGOは135億円を投じている。
2025年にはインターコンチネンタルホテルズ(IHG)のソフトブランド「ヴィニェットコレクション」をリーガロイヤルホテルに導入する予定。同ブランドの会員からの予約が増えることで、富裕層インバウンドなどの集客が見込める。
BGOをはじめとした不動産投資ファンドがホテル投資に積極的になる背景にあるのは、ファンドや投資家たちが描いている「ジャパンホテルストーリー」が明確になったことがある。
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