日経平均株価は本当に2万円を回復できるか NYダウ619ドル高も、デフレリスクの懸念

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一方、オバマ米大統領と日本の安倍首相は電話会談で、今回の株安に対して連携して対応することを確認したと報じられている。現在の株安に歯止めを掛けたいとする気持ちはわかるが、市場環境は悪化しており、株価の本格的な反発には相応の日柄が必要な状況であるとの認識だ。

27日の日本株も大幅に値を戻すとなると、本欄で繰り返すように、月末の終値で日経平均株価が、節目の1万8500円前後を超える可能性も十分だ。そうすれば、テクニカル上は「上昇トレンドはまだ継続」ということが確認される。

もっとも、海外の主要株価指数はすべて12カ月平均を大幅に下回っており(例えばダウ平均は1万7400ドル台)、日本株だけが今後も堅調に推移すると見るのは、もはや難しい。今後は、まずは重要な価格の節目となっている7月9日の安値1万9115円を回復するかどうかがポイントだ。

「過去の経済指標」から今後を判断するのは危険

米国でも、最近の住宅を中心とした堅調な経済指標を受けて、中国株安の米国経済への影響は軽微であり、一部には「関係ない」と片づける発言まで聞かれる。確かにこれまでの米国の経済指標は堅調なものが少なくない。

しかし、現状の市場環境で金融政策の正常化を前提に利上げを敢行すれば、1937年の米国株式市場の再来となる可能性が高いことは、すでに本欄でも解説した。

一方で利上げ見送りとなれば、為替相場はドル安・円高に転じ、円安を前提とした日本の輸出企業は業績の見直しを強いられることになろう。

そもそも、現在発表されている経済指標は過去のものである。一方で、「株価は景気の先行指標」というのがマーケットの常識である。したがって、「これまでの景気指標が堅調なので、今後も景気が拡大し、株価も上昇する」といった論調は、実際に市場で取引している筆者からすれば、やや的外れである。

マーケットが実体経済に先んじて動いているとの前提に立てば、現在の株価調整は将来の景気の不安定さを示していることになる。筆者は常にマーケットの動きを重視しており、「ファンダメンタルズはあとから付いてくる」という考えに基づいて行動するようにしているが、現在の株価は下向きに転じたと判断せざるを得ない。そのため、将来の景気回復や株価上昇を見込むよりも、まずは戻り売りを第一に考え、取引すべきと考えている。

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