私:「山本さん(仮名)のお子さんは今年、ハーバード大学に合格されたようですね。日本の高校に在籍していたのですか?」
山本さん:「ええ、日本にある高校ですが、インターナショナル・スクールです」
私:「山本さんご自身、ハーバード大学のご出身ですが、お子さんにも同じような進路を目指すように教育されたのでしょうか」
山本さん:「いえ、ただ、海外の大学に通ったほうが、貴重な大学時代の4年間を充実して過ごせるだろうと思ってはいました。そのためにはインターナショナル・スクールの方が海外の大学進学には適切であると考え、子どもは皆、インターナショナル・スクールへ行かせました」
私:「日本の大学へ進学するという選択はありませんでしたか?」
山本さん:「進路の選択は子ども自身がしました。2人子どもがいますが、1人は日本の大学にも合格しましたが、自分の選択でカナダの大学へいきました。今回、ハーバードに進学する子も自分で選択しましたので、親が進めたというものではありません。ただし、海外(欧米)の大学はいわゆるブランド校でなくても、大学ではしっかりと勉強させますから、日本の大学のように、貴重な4年間を遊んでしまったり、アルバイトばかりして過ごしてしまったりすることがないので、得られるものが多いと私は思っています」
山本さんは、貴重な大学時代を海外の大学の方が良いと判断し、さらに、そのためにはツールとしての語学は必要であるとお考えです。ですから、インターナショナル・スクールを選択されたわけです。「英語はあくまでも必要条件で、英語さえできれば良いのだとは思っていません。しかし、語学(英語)ができれば、視野や交流の範囲が広がり、自らの可能性が花開くチャンスが増えていくだろう」とも言われていました。
もうひとり、大手メーカーの元役員だった知人で、かつて語学もできずにアメリカ市場を開拓した人がいます。
私:「木山さん(仮名)は、北米大陸進出の際、“開拓者”として行かれたようですが、語学レベルはどの程度だったのでしょうか」
木山さん:「片言の英語が出来る程度で、ほとんど出来るというレベルではありませんでした。もちろん十分なコミュニケーションなどとれるはずもないのですが、契約はとれていきました。
市場を開拓する時、まずはその地のトップ企業との提携をしていきますが、こちらも必死ですから、先方もその熱意を受けとめてくれたのではないですかね。英語ができても、交渉する力がなければ契約は成立しませんから。その点が買われたのでしょう」
私:「そうですね。しかし、もしこれから海外へ進出されるとしたら、木山さんは、英語はできなくても交渉する力があればいいとお考えになりますか」
木山さん:「いや、そうは思わないですね。やはり英語は出来た方がいいです。余計なところにストレスを感じずに、交渉に集中できますから」
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