それでも「早期英語教育」が必要なワケ 小中学生でどれだけ英語に費やすべき?

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(小学校中学年からの)早期英語教育は、“正しい教育方法”であれば実行してもよい


 早期英語教育には基本的に肯定的ですが、条件があります。多くの早期英語教育では、ただ歌を歌って踊ったり、絵をみて単語を発音したりするレベルで終始していることが多いと感じます。コミュニケーションとは大きくかけ離れており、実際これを繰り返したところで効果があったという話を聞いたことがありません。

ただ英語に親しむということを目的にしているのであれば、中学校の英語の授業から始めても遅くはありません。これまで私は国内外を問わず、多くの早期英語教育を見てきましたが、明らかに効果があると思えたのは、私が知るところでは全て海外(非英語圏の国)の(小学校からの)早期英語教育でした。しっかりとコミュニケーションができるように、教育方法が仕組み化され、しかも比較的短期間で習得できるようになっています。

このような体系で学べるのであれば、早期英語教育は必要であると思います。(そうでなければ、通うことは時間とお金の無駄になる可能性がある)したがって、もしお子さんを小さい時から英語教室に通わせたいとお考えの場合は、コミュニケーションができるようになる仕組みの有無についてしっかりと見定める必要があるでしょう。ただネイティブが講師だからという理由ではよくありません。(英語圏の)外国人であれば誰でも英語は話しますが、正しく教えられるとは限りません。

“チャンスがあれば”、留学はした方がよい

学については、小学校、中学校では必要ないと思いますが、高校で行けるチャンスがあれば、留学しても良いでしょう。ただし、時間的問題、経済的問題、学校の単位の問題で容易ではないことが少なくありませんね。

私はかつて、高校生の留学支援に関わったり、グローバル高校を創設し海外1年留学の仕組みを作ったりしたことがあります。その際、海外体験が高校生に与える効果が計り知れないことを知りました。

海外へ行かれたことのある方なら、おわかりかもしれませんが、海外から日本へ戻ると、「日本は何ていい国なんだ!」と実感し、自分の国を再認識することがあります。またこれも多くの高校生が語っていたことですが、「自分の親の有難さがよくわかった」と言っています。つまり、異国、異文化、異人との出会いによって、日々の平常な生活を送っていて気付かなかった大切なことを気づく可能性もあるのです。

さらに、短い期間の留学ででも、留学中の語学に非力さを感じ、帰国すると語学への取り組み方が変わっていくことも少なくありません。このように高い効果をもたらす留学ですが、最大の問題は、経済的な部分です。奨学金による留学資金の支援は調べると結構ありますが、海外留学支援金は、英語ができる一部の選抜された人のみ対象であり、すでにその段階で高いハードルがあります。そうなると私費で行くしかなく、断念してしまうということになります。本来は国策でこの点が解消できればいいのですが。ですから、現段階で、私が申し上げられるのは、「機会があれば、留学はした方がよい」ということです。

以上のように、機会があればそれを利用することは大切ですが、基本的には、現在置かれている家庭の環境や状況を最大限活用することでも、対応は十分でしょう。必ずしも「早期英語教育や留学をしなければ、今後の社会についていけない」というものではありません。間違ってはならないことは、表層的な噂や情報に振り回されて、安易に行動してしまうことかと思っています。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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