フィンランド人は「夏休み3週間」が当たり前 日本人が知らない「余暇至上主義」の生き方

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シングルマザーが働くうえで不利になることもほとんどない。前出のウコンマーンアホ万里さんには、高校生でシングルマザーになった友人がいる。

「彼女は1年休学して復学。卒業して専門学校に進学しました。保育園代も不要で補助もあるので、自分の親に頼らずに子どもと2人の生活が成り立つんです。もし日本の高校生が子どもを産んだら、学校は退学になるかもしれないし、進学や就職もまだまだ大変なのでは。また、子連れで大学に通い、同伴で授業を受ける人もいます」

フィンランドでは教師が人気職業

2000年、OECD加盟国中心にした生徒の学習到達度調査(PISA)の総合読解力などで1位を獲得したことがきっかけとなり、フィンランドは教育関係者からも注目を集めてきた。戸沼さんは「落ちこぼれを作らない基礎教育の徹底、習熟度別の学習、それに加えて早い時期から職業意識を持たせているのが特徴」と指摘する。

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フィンランドでは、教師という職業はとても人気がある。ウコンマーンアホ万里さんも、「学校生活に関するスクールカウンセラー、心理的な側面をサポートするソーシャルカウンセラーが別にいるので、教師は教えることに専念している。授業に対してやりがいを持っている人が多いなと感じていました」と高校時代を振り返る。

高校は、大学進学を目的とした普通高校と職業高校に分かれており、職業高校は必修科目に加えて配管、木工、家具、デザイン、衣服など多くのジャンルの選択肢があり、社会に出てから入り直す人もいるそうだ。

「学生が作り上げた家を販売していて、それを喜んで買う人がいる。学びと職業が一致している職業学校の姿に、フィンランドらしさを感じます」(戸沼さん)

ワークライフバランスの浸透に高い教育レベルと、いい面ばかりに目が向きがちだが、かつて世界を席巻したノキアが凋落したこともあり、財政赤字や若年層の高い失業率が問題となっている

「あらゆるところで予算不足となっており、人員が減るなかで質を保つにはどうしたらいいかが課題となっている」(戸沼さん)

フィンランドは難局を乗り越えワークライフバランスのお手本としての地位を維持できるのか。フィンランドにあこがれる人が多い日本人にとっても、これは大いに気になるテーマではないだろうか。

高橋 志津子 東洋経済 記者

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たかはし しづこ / Shizuko Takahashi

上智大学法学部国際関係法学科卒。東洋経済新報社に入社後は、会社四季報、週刊東洋経済、ムック、東洋経済オンラインなどさまざまな媒体で編集・執筆を手掛ける

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