誰が買い、どう使う?「中古スマホ」活況続く理由 スマホ価格高騰で新品の販売台数は低迷中

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ゲオモバイルを展開する業界最大手ゲオホールディングス(HD)でも、2023年度の中古スマホ・タブレットの売上高は約357億円(前年度比12.3%増)と好調だった。同年度末で全国に約600店あるゲオモバイルを、2025年度中には800店へ増やす方針だ。

過度な新品端末の値引きをめぐる規制強化も味方する。大手キャリアによる「1円スマホ」を規制しようと、国は2019年10月に電気通信事業法を改正。携帯電話と回線契約をセット販売する際の値引きに、2万円(税抜き、以下同様)の上限が設けられた。

2023年12月には、値下げ上限が4万円(端末価格が4万円以下の場合は上限2万円)に緩和された。一方、これまでは除外されていた端末単体での販売も対象となり、実質的に規制は厳しくなった。

ゲオHDモバイル商品課の藤巻亮マネージャーは「かつては新品を安く入手できたため、中古を選ぶ動機が弱かった」と振り返る。中古相場が手頃なiPhone SE2など、初期費用を抑えられる機種の人気が高まっているという。

「埋蔵スマホ」は3億台超の試算も

販売だけでなく、買い取りも増えている。古くなったスマホの処分方法といえば、機種変更する際の下取りが一般的だった。ただ、大手キャリア3社の還元方法はポイント支給。中古店に持ち込めば、現金に直接換えられる。

藤巻氏は「中古スマホの取引は、日本より海外の方が活発だ」と指摘する。ゲオHDは関西大学の宮本勝浩名誉教授と協力し、使わなくなって家庭などに保管されている携帯電話の数を試算。2022年時点で国内に約3億0555万台あり、市場価格の合計は約6兆5000億円に上るとの推計が出た。

中古市場のさらなる活性化には、こうした「埋蔵品」の活用が欠かせない。ゲオHDは昨年7月、無料で簡単にスマホを査定できるアプリをリリース。店頭では美品だけでなく、画面の破損などがある「ジャンク品」も積極的に買い取っているという。

中古スマホの売買で得する秘訣はあるか。藤巻氏は「新型iPhoneの発売直後は、1年で最も買い取りが盛り上がる時期」と明かす。最新機種を手に入れた消費者が、それまで使っていたものを手放す傾向にあるからだ。

業者側は例年この時期、客を呼び込もうと、通常よりスマホの査定価格を優遇するキャンペーンを仕掛ける。買う側にとっても、この時期は中古市場の在庫が潤沢となるため、希望に添ったものを選びやすい。新型iPhoneの話題に沸く9月、実は中古店も活況を迎えるシーズンなのだ。

石川 陽一 東洋経済 記者

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いしかわ よういち / Yoichi Ishikawa

1994年生まれ、石川県七尾市出身。2017年に早稲田大スポーツ科学部を卒業後、共同通信へ入社。事件や災害、原爆などを取材した後、2023年8月に東洋経済へ移籍。経済記者の道を歩み始める。著書に「いじめの聖域 キリスト教学校の闇に挑んだ両親の全記録」2022年文藝春秋刊=第54回大宅壮一ノンフィクション賞候補、第12回日本ジャーナリスト協会賞。

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