誰が買い、どう使う?「中古スマホ」活況続く理由 スマホ価格高騰で新品の販売台数は低迷中

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取引が活発なのは、iPhoneの中でも高価格帯に当たる「Pro」や「Pro Max」だ。まだ手放す人が少ないため、現行機である「15」の同シリーズは人気なものの入荷しにくい。訪日観光客の主な目当ては、iPhone12から14あたりの高級機種となる。

ゲオモバイルが販売する「Aランク」の中古スマホ。傷ひとつない(記者撮影)

記者が同店の販売価格を確認すると、256GBのPro Maxは「14」で16万4780円、「13」で11万5280円(いずれも税込み、取材当時)。それぞれ定価から1万5000~3万円ほど安い。商品は傷の有無に応じて格付けされており、最上位のAランクは新品同様にきれいだった。

円安も後押しし、外国人観光客にとって中古スマホは魅力的なようだ。自分用はもちろん、ビデオ通話で母国の家族や友人に店頭の品物を見せ、どれが欲しいかをたずねる客も増えているという。榎本氏は「お土産として買う人もいるようだ」と推察する。

海外の中古市場では偽造品のiPhoneが出回ることもある。ゲオモバイルでは、買い取り時に真贋をチェックするほか、専用のソフトで前所有者のデータを削除し、センサーやタッチパネルなどの細部に至るまで動作確認。こうした姿勢で顧客からの信頼を得ている。

秋葉原と渋谷は売れ筋が違う

ゲオストアの小林巧エリアマネージャーは「地域ごとに売れ筋の機種はまったく違う」と話す。例えば、渋谷のゲオモバイル。iPhone5~7あたりの旧式を求める客が急増している。これらの販売価格はおおむね1台数千円ほどだ。

「エモい」写真が撮れると若者に人気の旧型iPhone(記者撮影)

安価なことから、おもちゃのカメラ感覚で使う若者が目立つという。「最近の機種より粗い画質が『エモい』とSNS上でブームになった。流行やファッションに敏感な層に受けており、韓国人女性が旅行ついでによく探しに来る」(小林氏)。

もちろん、中古スマホの需要は外国人ばかりにとどまらない。中古スマホはSIMフリーやロック解除済みの品を選べば、電話番号を変えずに機種変更ができる。日本でも、用途ごとに機種を分ける「2台持ち」が浸透しつつある。子供に与える初めての携帯電話として、あえて中古品を選ぶ親も増えている。

上記のような目的では、格安SIMを利用するケースも多い。大手キャリアと比べて通信速度が不安定などのデメリットはあるものの、月々の料金を大幅に抑えられる。

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