ベストセラー絵本と「フェス」にある意外な共通点 絵本「100かいだてのいえ」面白さの本質を探る

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このユニークな絵本はたちまち人気になり、100万部を超えるロングセラーになっています。『ちか100かいだてのいえ』『うみの100かいだてのいえ』とつづいてシリーズ化し、現在までに6タイトル出ています。シリーズに共通しているのは「100階建て」という部分です。

「100階建て」の面白さ

この絵本はまず20階建てで考えたそうです。そして、制作を進めるうちに100階になりました。この絵本にインパクトがあるのは、ひとつの「家」が「100階建て」だというところです。

通常は平屋や2階建て、3階建てであるはずの家が100階まである。そこにたくさんの動物たちが住んでいる。1階ごとに特徴があり、それが100も集積されているところに読者の心を捉える魅力があります。絵本のなかでさまざまな住民と出会い、生活を垣間見られるところが『100かいだてのいえ』の面白さです。

通常はバラバラなはずの「家」が「100階建て」として1カ所に集まることによって、読者にインパクトを与えています。

いわいとしおは1962年生まれの絵本作家、メディア・アーティストです。幼いころからパラパラ漫画を描いて遊んでいました。また、親から工作の本と工具を与えられたことをきっかけに、おもちゃを自分で作るようになりました。

筑波大学の芸術専門学群に進学してからは、アニメーションの制作をはじめます。テレビ番組のCGタイトルを手掛けました。また、1987年には『オトッキー』というゲームを制作しています。

これはファミリーコンピュータ向けのゲームソフトで、シューティングゲームと音楽ツールを融合させたものでした。プレイヤーはシューティングゲームを遊びながら、操作によって鳴る音で、あたかも楽器を演奏しているような体験をできます。1992年からはテレビ番組『ウゴウゴルーガ』のキャラクターデザインやCG制作を担当しました。

2006年、『いわいさんちへようこそ!』という本を出します。これは子どもといっしょにプライベートで作ったおもちゃを紹介するものでした。そして、その本を見た編集者から声をかけられ、『100かいだてのいえ』は生まれることになったのです。

もしこの絵本が100階建てじゃなかったら? もちろん、それはそれで面白いものになったでしょうが、多くの人は100階建てのほうがインパクトがあると感じるでしょう。

イラスト
(画像:『えほん思考』より)

事例 さまざまな音楽ファンを1カ所に集める「フェス」

ひとつの場所に集めるインパクトを音楽ビジネスにおいて実践しているのが「フェス」です。

夏フェスとはフジロックフェスティバル、ライジングサンロックフェスティバル、ロック・イン・ジャパン・フェスティバル、サマーソニックなどの一連の音楽フェスティバルのことを指します。これらは「フェス」という愛称で呼ばれ、とりわけ夏に行われることから「夏フェス」とも呼ばれているのです。

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