「100万部売れた絵本」の読者が夢中になる仕掛け 『ぜったいにおしちゃダメ?』大ヒットの理由

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この絵本はタイトルからしてユニークです。禁止されるとかえってそれをやりたくなってしまうことを「カリギュラ効果」と呼びますが、そういった人間の心理を利用した魅力的なタイトルになっています。

この表紙を見た瞬間、「押したらどうなるのだろう?」と前のめりの姿勢になります。さらにこの絵本は押すだけではありません。

絵本を振ったり、こすったりさせることで、ストーリーは進行していきます。こういった仕掛けが人気となり、この絵本はシリーズ化して、これまでに7タイトル出ています。日本では2017年に翻訳され、2018年には国内で最も売れた絵本になりました。累計で100万部以上も売れています。

「参加」を求める絵本

『ぜったいに おしちゃダメ?』はとてもインタラクティブな絵本です。ラリーは読者に直接語りかけてきます。この本を読み聞かせる場合は、読者と直接コミュニケーションすることになります。

そして、絵本に描かれたボタンを押すことを誘惑してきます。絵本に描かれたボタンを押す─つまり絵本を触ることを誘惑してくるのです。さらに絵本を振ったり、絵本をこすったりさせて、絵本に直接アクションすることを求めてきます。つまり、「参加」することを求めてくるのです。

ビル・コッターはアメリカの絵本作家です。幼少期から絵を描くことに没頭し、週末はアートスクールで絵や音楽のレッスンを受けていました。やがて美術大学に進学し、絵画を専攻します。卒業後はニューヨークで子どもたちにアートを教える学校の講師になりました。そこで子どもたちに絵本の読み聞かせをしていると、コッターはあることに気がつきます。

インタラクティブな要素のある絵本だと、子どもたちの聞く集中力が違うのです。その発見が絵本『ぜったいに おしちゃダメ?』の執筆に繫がりました。たまたま住居の隣人が出版エージェントだったという幸運もあり、コッターの絵本は世へ出ることになります。現在は故郷のオハイオ州に戻って絵本制作を続けています。

『ぜったいに おしちゃダメ?』はインタラクティブであること、読者が参加できることで魅力的な絵本になっています。

(画像:『ぜったいに おしちゃダメ?』より)
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