DXの効果が出ない理由の1つ目は、「数字上のトリック」に惑わされてしまっている場合です。
【理由1】「〇人分削減」というトリック
仮に「100人の集団で、1人当たりの業務時間を1割削減できたとした場合、10人分の削減が可能」という効果査定となります。
しかし、「10人分の削減」は、「10人を削減できる」ことになるとは限りません。
これは「いままで100人でやっていた仕事を90人で回すことができるか」という問いにすることもできます。削減する10人が担当していた仕事を、残る90人で処理できるかと言い換えてもいいでしょう。
その答えは、多くの場合「無理」ということになります。
理由はシンプルで、削減する従業員の業務を、別の従業員に移管することが往々にして難しいからです。
同じ業務を多くの人数で担当している企業、たとえばBPOの受託企業などでない限り、1人ひとりの業務量・業務時間は減ったとしても、業務の移管は容易にはできません。
そのため、従事する人数、あるいは従業員数はまったく減らないという「効果計算のトリック」となってしまうことがほとんどです。
もちろん、このトリックをうまく避けている企業もあります。
A社は、200人が従事するコーポレート業務での「守りのDX」に取り組みました(前回記事参照)。
目標とした60人分の業務量削減が見えてくるのに合わせて、1人ひとりの担当業務の再配置を行い、150人でコーポレート業務を回すことに成功しました。
60人分すべては無理だったものの、50人分の削減を実現したわけです。
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