「虎に翼」LGBTQ描写に反発する人に言いたいこと 性的マイノリティを描くことは今や世界的潮流

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その流れが顕著だったのが近年のディズニー傘下の作品だ。2つ例をあげてみたい。

ピクサー制作の『トイ・ストーリー』のスピンオフ作品である2022年公開の映画『バズ・ライトイヤー』では、かなり唐突に、女性同士のキスシーンが挿入され、2人が子どもを育てていくエピソードが挿入される。それらの描写が問題視され、公開中止になった国もある。

公開中止もやむなしと決意したうえでの、この作品にとって譲れないエピソードなのかとも想像できる。だが、そのシーンは一瞬で、正直、これが男女だったとしても、物語の大筋には大した影響がないといっていいものだった。入れ替え可能なエピソードのひとつとして“付け加えられている”感が否めないものだ。

日本の実写映画がアメリカで改変された例もある。山田太一の小説を原作に、1988年に公開された大林宣彦監督の映画『異人たちとの夏』は、現在はディズニー傘下にあるサーチライト・ピクチャーズによって昨年リメイクされ、『異人たち』というタイトルで今年、日本公開もされた。

日本版で風間杜夫と名取裕子が演じていた男女のカップルは、『異人たち』ではゲイの男性同士という設定に変更。日本版では風間杜夫演じる主人公が、若い頃の自分の母(秋吉久美子)と出会い、性的な雰囲気が漂うことが、この作品の味のひとつとなっていたが、同性愛者に設定変更されることで、その要素は丸ごと削ぎ落とされていた。

アメリカ版では過去の感覚で生きる両親が息子たちの同性愛に抵抗感を示すというエピソードに時間が割かれるなどして、もとの作品のテーマ性が薄まってしまった印象だ。本来の作品の良さや物語の流れを壊してまで、改変するべき設定だったのかには疑問が残る。

当然、性的マイノリティの描写を入れること自体には何も異論はない。だが、そうした設定が物語の中で機能しないのも問題であるし、逆に機能しすぎて原作を壊すことになるのにも疑問が残る。

昔から性的マイノリティを描く作品はあった

だが、そういった方針にも変化が見られそうだ。昨年末、ディズニーのCEOは、近年の作品に性的マイノリティへの配慮が含まれることなどに言及。「クリエイターは自分たちの目的を見失っていた」「一番は楽しませることであり、メッセージ性ではない」と発言し、“揺り戻し”の姿勢を示唆している。

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