「宮藤官九郎作品は不適切」と言う人に欠けた視点 「ホモソーシャル作家」という評価は正しくない
ドラマ『木更津キャッツアイ』がついに今日、TVer・U-NEXT等で配信される。
長らく配信が待ち望まれ、放送から20年以上経った今も根強い人気を誇るこの作品。同じ磯山晶プロデューサーと宮藤官九郎脚本のタッグによる『池袋ウエストゲートパーク』(TBS)もNetflixでの配信が解禁された際にランキング上位に入ったことから、『木更津キャッツアイ』も配信を経てより多くの人に見られることが予想される。
同タッグで制作した今年のヒット作『不適切にもほどがある!』(TBS)にも通じる、原点とも言える作品であり、相乗効果も期待される。
だが一方で、この作品が今、配信されることは「不適切」と論じられる危険性をはらむ。そのひとつが「宮藤官九郎作品はホモソーシャル的である」という批判だが、本当にそうなのだろうか。『木更津〜』をフックに本稿で考えていきたい。
(以下、敬称略)
意外と大ヒットではなかった
まずは、どんな作品だったかを簡単におさらいしておこう。
2002年1月から3月にかけて、TBS金曜夜22時の金曜ドラマ枠で放送された『木更津キャッツアイ』は、前述のタッグによるゴールデンプライム帯2作目の連続ドラマだ。
今も強く支持されていることから、大ヒットドラマのような印象を持つ人もいるかもしれないが、平均視聴率は10.1%で、当時の感覚としては決して大ヒットとは言えない数字だ。『池袋~』よりも4%ほど低く、放送時は不発に終わったと捉える人もいただろう。
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