反攻するすかいらーく、米投資ファンド傘下で活路

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東北の店舗で食中毒 数字に追われる弊害か

業界関係者は「他社のまねばかり」と冷ややかだが、規模を生かして業界内の成長分野に参入するのが、すかいらーくの戦略だ。

それはファミリーレストランである従来の「ガスト」も同じ。競合の「サイゼリヤ」を意識し、高品質・低価格路線を打ち出している。期間限定ながら、10月は800円以上するハンバーグのセットを390円で販売。11月は500円程度のキッズプレートを39円に値下げした。

コスト競争力の強化にも動く。グループの食材を一括で購入。全国に10カ所ある自社工場で一つの食材をガストや中華の「バーミヤン」などそれぞれのメニューに合わせ余さず加工すれば、原価を低く抑えられる、とそろばんをはじく。

成長の青写真を描く中で「ベインがやってきたのは渡りに船。彼らのマーケティングや調査能力は非常に高い」(谷社長)。すかいらーくはここ数年、店の整理に追われ、マーケティングに力を割けなかった。ベインも「これから商圏や店舗運営をしっかり分析して改善を積み上げていく」(杉本氏)と意欲的だ。

ただ経営の急な変化で、現場に大きな負担がかかっているのは否めない。8月、東北4県のガストで14人が食中毒になり、120店の営業自粛を余儀なくされた。仙台工場で加工した浅漬けが原因とみられ、谷社長は「震災で失った利益を取り戻そうとしてメニュー改訂を進め、工場に負荷がかかった。起こるべくして起こった可能性が高い」と反省する。

構造改革にメドはついたが、経営が盤石とは言いがたい。あらゆる分野に手を広げ、経営資源が分散し管理もおろそかになれば、過去の二の舞いになりかねない。再生の真価が問われるのはこれからだ。

(松浦 大 撮影:吉野純治 =週刊東洋経済2011年11月26日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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