自給率100%のコメが品薄になった不都合な真実 価格は6月に急騰、来年にかけて高値は続くか?

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農林水産省の担当者にも今後の需給見通しについて見解を求めた。公式的には9月下旬に発表する作柄指数をもとに判断するとしている。ただし、関東や北陸などの産地からの情報では「今のところ生育は順調」との情報が入っていて、高温で生育が進んでいる地域では出荷も早まっているという。ただ今後の台風や異常気象による作柄、収穫への影響も考慮しておかなければならないだろう。

はっきりしたのは、「自給率ほぼ100%」のコメといえども、天候や消費者の行動パターン次第で、品薄・価格急騰に転じてしまうということだ。

農家の絶対数が減っていく中で、残った生産者が主食用米よりも補助金が出る新市場開拓用米などにシフトしていけば、コメ不足はいつ再燃してもおかしくない。コメの安定供給を望みたいのであれば、消費者としても農政のあり方に無関心でいてはダメということだ。

ブランド米信仰の弊害も

さらに、ブランド米信仰を見直す必要もあるだろう。猛暑で一等米の比率が下がっただけでこの騒ぎになってしまった。

ネット上では以下のような声が寄せられていた。

<コメの等級や品種の違いによる味の差は、一般の方にはわかりづらいもの。等級が低いからといって味が劣るわけではない。等級にこだわるよりも炊きたてを食べることが大切>

<あまりにも等級を細かくした結果、一等級以外は二束三文になって、農家の取り分が減ってしまった>

<コメは国民の命綱。耕作放棄地の増加、従事者の高齢化、おざなりになっていないか>

「令和の米騒動」は食と安全、食と生活、日本の農政を改めて考え直すいいきっかけになったのかもしれない。

山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログでは、最新の病状などを掲載中。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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