自給率100%のコメが品薄になった不都合な真実 価格は6月に急騰、来年にかけて高値は続くか?

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こうした違いについて、流通関係者に聞くと、「ほとんどが年間契約ですが、在庫が厳しくなるとスポットで手当てをします。そうなると平時の取引状況が影響してきます。卸の言い分を聞いてあげているところ、融通を利かせているところはほぼ通常通りの取り引きができていますが、日頃、厳しい条件を突き付けているところは、品薄になると優先度が後回しにされてしまいます」と解説してくれた。

それにしても、今回の「米騒動」はなぜ起きたのか。この春から多くの米穀店が仕入れに苦労するような状況になっていたが、異変が顕著になったのは7月中旬だ。

農林水産省が発表した6月のコメの「相対取引価格」において、2023年産米の全銘柄平均は玄米60キログラム当たり1万5865円の高値をつけたのだ。

2012年産米が1万6127円をつけた2013年8月以来、約11年ぶりの高値水準となった。ちなみに2022年産米(2023年7月)は1万3840円だった。今年は昨年同時期に比べ11.3%の上昇となっている。

この状況は7月に入っても継続している。7月の全銘柄平均は1万5626円と前月よりわずかに下がっただけで、相変わらずの高値水準にある。

コメ価格

コメ価格が急騰した4つの原因

今回の米騒動で指摘されている原因は主に次の4点だ。

①昨年夏の猛暑による高温・渇水被害により、米どころの新潟などで一等米の比率が低くなり、精米された商品が少なかった

②ロシアのウクライナ侵攻、原油高以降の食品の値上げラッシュの中で、すぐに値上げに向かわなかったコメへの需要高まり

③外国人観光客の激増による需要増

④南海トラフ関連情報など直近の地震多発による消費者の買いだめ

農林水産省の最新の需要動向(2023/2024年)によると、前年の691万トンから11万トン多い702万トン(速報値)となった。これまで毎年約10万トンペースで減少してきていたから、大きな変化だ。

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