自給率100%のコメが品薄になった不都合な真実 価格は6月に急騰、来年にかけて高値は続くか?

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総務省の家計調査でもコメ消費の高まりが明らかになっている。2023年1年間のコメの販売数量(2人以上の世帯)は56.65キログラムで前年比98.7%だったが、2024年になると1-6月の販売数量は25.81キログラムで前年同期比102.4%と増加基調にある。パン類は前年同期比101.2%、麺類は同99.1%だからコメ回帰がうかがえる。

さらに供給面にも目を向けると、農家の作付け意欲の低下という要因が浮かび上がる。主食用米の作付け状況を見ると、2017年度に137.0万ヘクタールあったのが2023年度は124.2万ヘクタールにまで1割減少している。高齢化、後継者難の問題も大きいが、農林水産省の政策の影響も無視できない。

国策により作付けが増えない

「農林水産省は2024年度予算で水田を活用して麦、大豆、飼料作物、WCS用稲、飼料用米、米粉用米を生産する農業者支援のため3015億円を計上しています。

かつては需要減から減反政策をとってきたのですが、最近は新市場開拓用米(輸出用米等)など従来の米作りからの転換を促す政策に変わってきているかのようです。このため、作付け意欲を見ても主食用米では前年より増加は16県にとどまっていますが、加工用米は20県、新市場開拓用米は29県、米粉用米は19県といずれも主食用米を上回っています。

この秋の作柄次第ではありますが、この秋から来年にかけても主食用米が十分に行き渡らない状況が出てきてもおかしくはありません」(農政関係者)

実際、この先のコメの需給バランス、価格動向について流通関係者はどう見ているのか。毎年、年間契約で必要な数量を確保してきているという中堅スーパーの担当者に話を聞いた。

「例年8月1日から九州、西日本の早場米が入荷してきて、9月になれば新潟の新米も入ってくるので、需給の逼迫は多少緩和すると見ています。ただ価格については大きく下がることはないでしょう。作柄の影響などで今後、主食用米が十分に出回らないと高値水準が続く可能性はあると見ています」

早場米で流通量の多い、宮崎産コシヒカリの農協買い取り価格は、前年比で6%ほど高くなっているという。ネット上には「5キロ3726円~(税込み)」といった表示も見られる。

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