なぜ若者はキャリアに不安を持っているのか 「成果主義」ではなく「貢献主義」で捉え直す社会
なぜ若者はキャリアに不安を持っているのか
勅使川原:『Z世代化する社会』では、若い世代が自分のキャリアに不安を持っていて、早く成長しないといけない、転職も考えないといけないと悩んでいる。でも、そうした不安は企業をはじめとする社会が作り出しているものでもあるから、真に受けすぎる必要はなく、余裕を持てばいいんだと書かれていますよね。
私が研究する能力主義においても同じ問題意識を持っていて、人の「能力」は客観的な、科学的な基準で判断できて、それに基づいて人を選抜、評価できると考えられている。でも、「能力」は明確に定義できるものではなくて、人との関係の中で揺れ動くもの。偶然や持ちつ持たれつの関係の中で人が集まって仕事をすることが、実際には社会の大部分を支えていると思っています。スペシフィックに白黒つけて、賢い大人が考えたアルゴリズムで社会なんて到底回っていないんです。
ただ、こうした現実を若い人にもわかってほしいと思う一方で、自分が同じ立場にあったら、同じようにキャリアに不安を持つだろうなとも思うんです。この葛藤を乗り越える知恵を舟津先生からいただけたらと思うのですが、いいでしょうか。