安河内:わかります。アメリカに1年留学したけれども、友達はできず、勉強だけした。そして帰国しても英語が話せない、というパータン、私の教えてきた学生にも多いんです。
留目:けっこういますよね。
安河内:MBAとか学位は取得してきたけど、親しい友達は特にできなかった、なんてさびしいことを言うんです。
留目:最低限の生活と、学校の勉強だけやって終わってしまうパータンですよね。行けば話せるようになるわけではありません。
安河内:MBA持っているのに英語が話せないのはどうして?と思うけど、密な友達付き合いなどが欠如していたから……というケースが多いのでしょう。発表の原稿を丸暗記したり、論文を書いたりとか、それだけしかやってこないと、楽しく雑談というのができなかったりする。
英語ができると世界情勢が客観的につかめる!
留目:そうですね。私は外資系の会社にいますから、仕事のために英語は欠かせません。純ジャパのドメスティックな環境からスタートしたので、ここまで来るのにもそれなりに苦労した。
でも、「どんな時にいちばん、英語をやってきてよかったなと感じるか?」と聞かれたら、仕事で使えたときという答えにはならない。それよりも、英語が使いこなせることで、物の考え方や見方がすごくフラットになってくるというか、広がったと実感できる瞬間に、「ああよかった」と強く思います。日本で日本語のメディア環境だけに頼っていると、入手できる情報がどうしても偏るし、ゆがんでしまう。
安河内:日本語で発信されるメディアって、すごく日本寄りになってしまいますものね。少し客観性を欠くかな、というときも少なくない。
留目:同じニュースでも、伝え方が各国で全然違うことも多々あります。だから今日本で仕事をしているときでも、朝起きてBBC、CNNを見て、ウェブでニュースなどをなるべくチェックするようにしています。海外だとだいたい、世の中で話題になっていることが詳しく記してあるのだけれど、日本の新聞を見てもあまり書かれていないように感じます。日本のメディアだけでは、どうも自分の平衡感覚が失われてくる。今ではそれがすごくuncomfortableなんです。
安河内:御社は、日系企業ではなくマルチナショナルカンパニーですものね。日本語だけの情報に頼っていると、世界を視野に入れた客観的な情報が得られない。
留目:世界のいろんな国、地域の人と話したり、仕事をしていく上でバランス感覚を欠いている人間でいることが、いちばん恥ずかしいと思うんです。
安河内:そうか。世界でビジネスするときに、情報のバランス感覚を持っていることが大切なんですね。日本からの情報だけに頼っていると、日本人的な考え方でしか発言できないし、対応もできない。マルチカンパニーで働いているとこれは許されないですものね。
留目:そうですね。日本はいいところももたくさんあると思うんです。研究開発や物作りの拠点は日本が多いとか、強いものもしっかりとある。ですから、グローバルなチームで日本の強みを生かしていくようなポジショニングをとって、グローバルチームの一員としてしっかり参加していく。そんなふうにして日本の強みを生かしていければいいんじゃないかと思います。
安河内:何も日本人だけの純粋チームで、メジャーで戦う必要はないですものね?
留目:そうなんです。グローバル経済で世界はもうひとつになっていますから、さまざまな国・地域の人と一緒にひとつのチームを作って参加することを考えていくべきでしょう。グローバリゼーションが進んでいる今、日本対海外とか、日本対中国とかいった文脈ではなく、グローバルチームの中で、日本人としての強み発揮させていくことを考えるべきだと思うんです。
安河内:となると、英語はやっぱり絶対に必要になってきますね?
留目:はい! かつ、バランスがとれた視野を持つことが大切でしょう。
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