超人気トランプ候補は、何を意味するのか 信条は「俺は賢い」「俺は金持ち」
今まで、ドナルド・トランプのような大統領候補者を見た事があるだろうか。おそらく誰にもないだろう。トランプは、2つの政治的な伝統と特質を兼ね備えた候補者だ。彼は「政治家でないアウトサイダー」であると同時に、「イデオロギーを持つ泡沫候補」である。それぞれの特質を持つ候補者はいくらでもいるが、1人でその両方を兼ね備えていた例はない。
政治経験の無いアウトサイダーが権力層に対して出馬する事は以前もあり、成功を収めた例もある。彼らは、有権者の政治に対する嫌悪感やワシントンへの憤慨に訴えるのだ。
政策についての発言はロス・ペロー的
時に、そのような人々の感情は、有権者をカリフォルニア州のアーノルド・シュワルツネッガーや、ミネソタ州のジェシー・ベンチュラのようなセレブリティに向かわせる。1992年に独立候補として出馬したロス・ペローのようなビジネスマンも、政治的アウトサイダーの役割を満たす事ができる。
彼らは、「政治なんてビジネスのように運営できる」という信念を主張し、それを繰り返し訴えかける。ペローは、見えない政治の中身をきちんと調査・分析し、国の問題を正すために「世界的な専門家を政府として雇用する」と訴えた。そして、市民には「電子的タウン・ホール」でどの解決策がいいか投票させるのだと主張していた。こうすれば政治的な駆け引きが取り除かれる、というわけだ。
トランプのアプローチは、ペローのそれに少し似ている。トランプは自身の政策について聞かれると、こう反応した。「今、私たちは最高の物を持とうとしている。私はより多くの雇用を創出する予定だ」。トランプはただ単に雇用をかき集め、それを並べて見せるのだろう。ペローが政策コマーシャルやフリップチャートで自身の政策をビジネスのように主張していたように、だ。
しかし、政治はビジネスのようには運営できない。それには理由があるのだろうか。