「イホー」と「セキニン」って、やはり「違法」と「責任」と書くべきじゃないのかなあ、と、その時はひどく戸惑った。その彼は2年後、法科大学院を修了した年に難なく新司法試験に合格したので、優秀であったことは間違いないのだが、彼にとっては、漢字でもひらがなでもなく、カタカナで書くことが習慣づいていたのかもしれない。
いったい、子どもたちの頭の構造はどうなってしまったのか。私たちは今後、子どもたちにどう向き合えばよいのか……。
「字面」しか覚えていないことの弊害
ひらがなとカタカナの間で得意不得意が分かれることは理解に苦しむが、こと漢字との関係でひとつ考えられるとすれば、「読み」を正確に把握できていない子どもが増えているという点だ。
昨今、スマートフォンでは「予測変換」が主流になり、1文字入力するだけでよく使っているフレーズが候補として挙がる。受験勉強で出会う数多くの難読漢字も、「字面」では覚えていながら、正確に読むことに神経を使っていないケースが増えているのではないか。
医療現場では、患者への説明や医師同士の会話など、「発話ベース」でのミスのない情報交換も重要になる。そう考えると今回の「ひらがな問題」も、「読み」まで正確にマスターせよと、受験生に示唆する目的があったのかもしれない。
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