10000型は地下鉄に乗り入れない地上線用車両として、まず東上線に8両編成が登場。その後本線系統(伊勢崎線など)にも2両編成と6両編成を投入し、計118両を導入した。東上線に配属された8両編成6本のうち4本は、増え続けていた利用者に対応するため1989年に2両を増結して10両編成化しており、このうち3本が現在も東上線を走り続けている。
1988年以降の増備は、10000型の基本形態を踏襲しつつ車体からコルゲーションを廃し、台車も変更するなどマイナーチェンジした「10030型」や「10050型」に移行。同じデザインで、新型の制御装置を搭載した試作的な車両「10080型」も造られた。
10000型とこれらのマイナーチェンジ車を合わせた「10000系列」の車両は計486両導入され、8000型に続いて東武車両の一大勢力となった。「8000型は712両導入しましたが、それでも足りなくて486両を造った。利用が急増した時代のラッシュ対応車両としてどんどん増備された車両です」と、泉川さんは10000系列の車両が投入された時代背景を語る。
「まるまる型」と「ガチャマン」
10000、10030、10050と複数のタイプがある10000系列の車両。東武の社内ではそれぞれユニークな呼び方がある。末尾2桁の数字から、10000型は「まるまる型」、10030型は「さんまる型」、10050型は「ごーまる型」だ。
10000型にはさらに別の呼び名もある。「ガチャマン」だ。これは運転台のブレーキを操作するときの音から来ているという。
「まるまる型は、さんまる型などと違ってブレーキの接点に刻みがあるので、操作するとガチャガチャと音がするんです」と泉川さん。運転士の間では「ガチャマン」と呼ばれることが多いようだ。
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