側面の波状のコルゲーションは、当時のステンレス車両ではよく見られたデザインだ。泉川さんによると、「ステンレス車体は表面が波打つのでそれを隠すために付けていたもの」だが、近年の車両は製造技術の進歩で不要となり、今ではコルゲーションのある車両は貴重な存在となった。磨くとピカピカになり、汚れが目立ちにくいメリットもあるという。
前面はやや丸みを帯びており、前照灯と尾灯を縦に並べた四角いライトが特徴的だ。銀色の車体に「ロイヤルマルーン」と呼ぶ茶色の帯を入れたデザインは、1996年デビューの「30000系」まで続く、一時期の東武車両のスタンダードとなった。
![東武鉄道 10000型 側面](https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/d/f/570/img_dfdb2924827cce087b181b27434cba07608848.jpg)
![東武鉄道 10000型 コルゲーション](https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/f/9/570/img_f91cb979cdf7f8c3b86b73910067ca42187177.jpg)
一時期の東武を代表する車種
新機軸は車体だけではない。性能面ではブレーキが大きく進化した。8000型は車輪にブレーキシューを押し当てて止める空気ブレーキのみだったのに対し、10000型は「界磁チョッパ制御」の採用で回生ブレーキを装備。空気ブレーキも、電気信号で制御する電気指令式に変わった。
一方で、車内設備などに電力を供給する補助電源装置、ブレーキやドア開閉用などの空気をつくる空気圧縮機は実績ある従来型を採用。台車も8000型とほぼ同じだ。泉川さんは、「新しいものを採用しつつ、従来車と同じ部分が残っているのも10000型の大きな特徴」と話す。
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