就職や昇進だけじゃない「資格」の思わぬ副産物 "資格芸人"が振り返る、FP取得後の劇的な変化

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そこで、てんやわんやになるのは毎年、確定申告の時期です。個人事業主は毎年、3月に昨年1年間の収入から必要経費を引いて所得を算出し、税務署に申告しなければいけません。ただし、収入が一定以下の低所得では申告が不要になるケースもあります。

そもそも仕事が少なくて収入が雀の涙ほどしかない芸人も多い中で、「確定申告って何? やったことない」っていう人もいました。

けれども、売れ始めると急に収入が増えるケースもあります。確定申告は収入に応じた税額を決めるために必要なので、申告をしなければ悪意がなくても脱税と見なされてしまう場合があります。

一方で会社からもらう報酬は所得にかかる税金が引かれて振り込まれるので、低所得の場合は確定申告をすることで、年間の収入に対して払い過ぎた税金があれば還付されるというメリットもあります。

でも、この仕組み自体を知らない人がほとんどでした。会社勤めの経験をせずにお笑いの世界に入ってくる人もいるので、仕方ないといえば仕方ないのかもしれません。

「確定申告」で芸人仲間から引っ張りだこに

そこで僕は、FP技能検定の資格を活かして、そんな友だちに給与明細の見方や、年明けに会社から送付される支払調書の意味を教えてあげていました。そのうちに評判が広がって(?)周りに頼られるようになっていきます。

「市川、ごめん。支払調書とかいうのが届いたけど、これって何?」。2月になると、芸人友だちや先輩からこんな電話がひっきりなしにかかってくるようになりました。頼ってもらえると人間、悪い気はしません。むしろ嬉しい。

最初は1人ひとり電話で教えていましたが、数が多くなると追いつかなくなってきました。そこで会議室を貸し切って、30人くらい集めて教えたこともあります。

給与明細や支払調書のサンプルを見せながら、みんなの前で、

「ここに書いてあるのがあなたの年間の収入ってことですよ」

「ここから経費を引いたのを"所得"といいます」

「収入が〇〇○万円までなら税率はこのくらいですよ」

とか、そんな感じでお金の基本的な知識を教えていたのです。

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