窪田:私からも、両親が近視でも、子どもがゲーム好きでも、子どもに近視が発生しなかったある家庭の事例を披露させてください。
眼科医の知人が、ゲーム好きの子どもに「ゲームをしてもいいが、必ずベランダですること」という家庭内のルールを作り、子どもたちに守らせたそうです。その結果、ゲームの時間は減らなかったけれど、ベランダで太陽光を定期的に直接浴びた子どもたちは、近視を発症しなかったそうです。うまい方法だなあ、と感心したものです。それぞれのご家庭や嗜好にあった方法で、まずは子どもの戸外での時間を1日2時間程度確保することからぜひ始めていただきたいです。
高濱:なるほど、いろいろと工夫のしがいがありそうですね。外遊びをするにも紫外線や熱中症などに気を配らなくてはならない時代になりました。今日先生から伺ったような諸外国の外遊び導入事例も参考にしつつ、地域や教育機関と連携することで、子どもたちが外で安心して遊べる環境を作っていかなきゃ、と改めて思いましたね。
窪田:そうですね。1日2時間の外遊びの時間を各家庭が確保するとなると、日々忙しい親たちにとっては難しいと感じるかと思います。交代で子どもの外遊びに付き合うなど、親同士が協力し合うことも必要かもしれませんね。
かけるだけで「目の外遊び状態」が作れるメガネも
窪田:テクノロジーの力で近視抑制力を補うことができればとも考えています。私が開発している「クボタグラス」という特殊なメガネもその一例で、これは一定時間かけることで、室内にいても「目の外遊び状態」を作れるというものです。
高濱:子どもたちが手に持つデバイスに目が近づきすぎると警告のアナウンスが流れるといったテクノロジーも、開発できたらおもしろいかもしれませんね。
窪田:そうですね。とはいえ、子どもの近視を抑制するために一番簡単で今日からすぐにできることはやはり外遊びです。高濱先生のような方々と一緒に、将来の失明リスクを上げる近視をゼロにする活動を引き続き推進していきたいですね。
高濱:室内でも外遊びの要素をある程度は補完できます。たとえば、家の中で秘密基地作りなどをすることで空間認知力を上げることはできますし、仲間作りだってできるでしょう。ですが、室内と屋外で圧倒的に違うのは多様性です。同じ木の葉っぱでも一枚一枚まったく違う。野外は多様性の宝庫です。その多様性に触れることで、子どものクリエイティブな感性が花開きます。ぜひ外遊びの大切さを理解していただき、私たちも子どもたちに外遊びをさせられる環境づくりのサポートをしていきたいです。
(構成:石原聖子)
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