高濱:「外の師匠」とは、子ども自身が尊敬できる親以外の第三者のこと。「斜め上の存在」とでも言えばいいでしょうか。たとえば、習い事の先生やカッコいいと思っている従兄姉、あるいは学校の部活の先輩などです。
親が真上から子どもに向けて正論を突きつけるより、部活の先輩などから「おい、眼球の形が一度ナスみたいな形になると一生戻らないけど、今なら食い止められるんだぜ」と言われるほうが、子どもの心に刺さったりします。
窪田:思い起こせば自分も思春期はそうでしたね。親よりも、親以外の第三者がかけてくれた言葉が自分の中に残っていたりします。
高濱:私もそうでしたね(笑)。また、子どもたちと長年関わってきて感じるのは、子どもの性差によって納得する手法が違うということです。男子は、エビデンスとデータを見せると納得しやすいですね。ひと昔前の事例となりますが、喫煙だったら「タバコを吸うとこんな肺になってしまうんだよ」と、肺の写真や模型を見せると理解してもらいやすいといった感じです。男の子は、目の前に数字や結果を見せると腑に落ちるんですね。
女の子には「ストーリーを語る」のが効く
窪田:なるほど。では、女の子の場合はどうでしょうか。
高濱:女子はストーリー形式で心を動かす話をすると、受け入れてくれる傾向がありますね。ちょっと憧れている人に「君の身体が心配」だなんて言われると、キュンとして聞いてくれるようです。
また、女の子の場合、母と娘が親子というよりも「先輩女子と後輩女子」のような関係性が築けるようになると、娘が母親に聞く耳を持つようになります。娘の一番の相談相手が母親になるケースもありますよ。
ただそうなるためには、母親がある程度自分の過去などをざっくばらんに娘にさらけ出して娘に信頼してもらう必要があります。なので、親自身がそもそもの子どもとの関係性をどうしたいか考え直す必要が出てくるかもしれませんね。
窪田:いつまでも子ども扱いせず、親も意識を変えていく必要がありそうですね。