子どもを「外で遊ばせるだけ」で近視は防げる 忙しい親でもできる「子どもの目の守り方」
窪田:それは素晴らしい取り組みですね。学校が休みの期間にも、そうやって外遊びを確保するのは理想的です。
実は外遊びが大事というのには、2つのメリットがあります。1つはここまでお話ししてきた「遠くを見ること」、もう1つは「太陽光を直接浴びること」です。この2つは同じくらい重要です。太陽光をただ浴びればいいわけではなく、窓ガラスなどを隔てずに直接浴びる必要があります。
高濱:おもしろいですね。窓ガラスを通してしまうとダメなんですね。
子どもを屋外に放つことで目覚める力
窪田:光を直接浴びるというと、晴れた日の直射日光を想像するかもしれませんが、1000ルクス程度の明るさが確保できればよいので、曇りの日や木陰でもその明るさは十分得られます。
高濱:木陰でもいいというのは、暑い日が続く夏には朗報ですね。ちなみに、ベランダで太陽光を浴びるのはどうなのでしょうか。
窪田:これは光の波長の問題で、太陽光がガラスなどのフィルターを通してしまうと、波長が変化してしまい近視抑制の効果が失われます。ベランダなら大丈夫です。
目にある程度の強さの太陽光を当てると、網膜内のドーパミンが増えることが確認されています。これが近視抑制につながっていると考えられています。
高濱先生は、経営されている学習塾で無人島を買い取り、そこでも子ども向け体験プログラムを実施されていると聞きました。眼科医的な視点で見ると、長時間屋外で活動し続けることができて理想的な環境に思えます。実際に参加している子どもたちの様子はいかがですか。
高濱:すごいですよ! 最初は引っ込み思案だった子たちも、無人島で一晩過ごすと奥底に眠らせていたエネルギーをむくむくと湧き上がらせます。「おい、今度はあっちに探検しに行くぞ!」などと他の子たちを引っ張っていったりして……。
親御さんは「この子は生まれつき引っ込み思案だから」「親に似て内向的な子だから」と思い込んでいたりするのですが、環境によって変わります。これは、心も目も同じかもしれませんね。