「下剋上受験」から親の寄り添う姿勢を学ぼう 父と娘が最難関校を目指す過程で得たもの

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氏にとっては、高校以上の世界は霧の向こうです。「高卒だけでは終わらせない。具体的には示せないが、もっと幸せなステージがあるはずだ。私はそれを探す」。氏には失礼ながら、このようなまさにゼロからの出発でした。そして小学校5年生の夏休み前の娘のために、高校受験のための塾探しが始まります。

いろいろな塾に実際に当たってみてわかったことは、中学受験をするべきだということでした。優秀な子は中学受験で優秀中学に行っていることを知ったのです。それに反抗期の中学生になってからエンジンをかけても、「親の二の舞になる可能性だってある」。

ここからが大変面白いのですが、どこの塾でも、先生が説明する偏差値41の娘の目標校は偏差値50+α校でした。氏にとっては、中学受験するだけでもすごいことなのに、娘に示された学校からはエリートにはなれない。どうみても高い授業料を取られて下のクラスで飼い殺し、適当な私立中を受験して終わるというシステムにしか解釈できないものでした。親の不安をあおる不安商法だと感じたそうです。

塾に相談せずに自分で考えた

塾に相談するのをやめて、パソコンで偏差値一覧表をみたら、最上段に偏差値が72の桜蔭がありました。まだ読み方もわかりませんが、毎年東大に70名前後が進んでいます。

自らの人生を振り返れば、人生はスタートが肝心でした。途中参加は認められておらず、合流もできなかったそうです。しかも「一斉スタートする時の参加基準は甘い」。だから「佳織は、今のエリアにいてはいけない」。

塾任せではダメでも、親塾なら可能性があるかもしれないと、何度も父娘で話し合いました。そして小5の夏休みのある日、彼は佳織さんに言います。世の中は、途中参加は認めないが、最初からやるのなら参加できること。スタートは遅れたが、父子で一緒に受験勉強をしたいこと。娘が解く問題は、必ず自分も解いていくこと。絶対に一人ではさせない、途中で無理なら相談して、一緒にあきらめようと。そして「最高峰の桜蔭学園を狙おうと思う」と宣言します。

桜井家は、どんなに欲しいものでも欲求を抑え、どれか一点を買う庶民派です。ですが氏が手始めにしたことは、参考書や問題集4万円の大人買いでした。そして戦闘開始日の9月1日早々、算数の基礎といっても基礎とは思えない難度とボリュームに圧倒されます。おカネさえあれば、「親子で家庭教師に習いたい」と思うほどです。

そんな状態から始めた親子の受験勉強は、結果的には偏差値72の桜蔭には落ちましたが、偏差値70の東大医学部医学科に進学率が高い有名私立高校に、合格しました。そして桜蔭学園の生徒さんたちとは、東大の入試会場で合流すべく、頑張っておられるそうです。

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