2016年中盤には「1ドル130円」を超える 通貨ストラテジストの村田雅志氏に聞く

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しかし私は、イエレンFRB議長の金融政策の正常化(ゼロ金利政策からの脱却)を目指す姿勢は強く、利上げ開始の条件とされていた米労働市場の改善が続いていることから、FRBは9月のFOMC(連邦公開市場委員会)で、利上げを開始するとみています。雇用統計などの労働市場関連指標を通じ、米国の労働市場のさらなる改善が確認されれば、市場も私と同様に、9月の利上げ開始を織り込みにかかると予想しています。

黒田ラインや日本の経常収支の改善としたドル円の上値を抑える要因は、米国の利上げ開始というビッグイベントの前には影響力を急激に失うだろうと見ています。世界各国を見渡しても、多くの国が景気減速で苦しむ中、米国が景気を下押ししかねない利上げに着手したという事実は重く、利上げ開始とともに米国景気に対する信認はむしろ強まり、ドル買いの動きが強まるとみるのが自然でしょう。

年末1ドル=128円、来年半ばに130円を超える

今まで説明してきたドル円に影響する要因を本書で説明したグループに分けてみると、FRB(米国連邦準備制度理事会)による利上げ開始観測は「実需期待」、日銀の追加緩和観測は「政府・中銀」、200日移動平均線は「テクニカル」、"黒田ライン"は「政府・中銀」、日本の経常収支の改善は「実需」、そしてドル高を理由とした米国の利上げ先送り観測は「政府・中銀」、というように、それぞれ整理できます。

――最後に今年後半と来年のドル円の動きについてズバリ予想していただけますか?

さきほど申し上げたように、米国が利上げを開始し、米国景気に対する信認が強まれば、ドルを買う動きが続くと考えるのが自然です。また日銀による追加緩和を期待する声も続きやすく、円売りの動きもジワジワと続くとみています。この結果、ドル円は年末までには128円程度まで上昇。その後も米国景気の拡大が続くことを前提とすれば、ドル円は上昇基調が続き、来年半ばには130円を超えると考えられます。

東洋経済オンライン編集部

ベテランから若手まで個性的な部員がそろう編集部。編集作業が中心だが、もちろん取材もこなします(画像はイメージです)

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