円安は年内128円まで、130円にはならない 値動きのパターンから予測するドル円相場
ドル円相場について、期間が長めのチャートを眺めてみてほしい。リーマンショック後の値動きは、(1)レンジ内での推移、(2)上昇(もしくは下降)トレンドでの推移、の二つのパターンをおおむね繰り返している。
たとえば、今年のドル円の値動きをみると、
・1月初め~1月中旬:1ドル=121円から116円ちょうど近辺まで下落((2)のパターン) ・1月下旬~2月上旬:117~119円での推移((1)のパターン) ・2月中旬~3月上旬:122円ちょうど近辺まで上昇((2)のパターン) ・3月下旬~5月中旬:118~121円での推移((1)のパターン) ・5月下旬~6月2日:125円まで上昇((2)のパターン)となっている。5月下旬から始まったドルの対円での上昇は、1ドル=118~121円というレンジから、次の新しいレンジにシフトするプロセスであると考えられる。
FRBが相次いで年内利上げのメッセージを発信
レンジ相場を続けてきたドル円が5月下旬に上昇基調に転じた最大の理由は、利上げ開始に対するFRB(米国連邦準備理事会)の意欲を市場が感じ取ったためと考えられる。
ドル円がレンジ相場で推移していた4月から5月中旬にかけては、市場では米国の経済指標の弱い結果を受けて、利上げ開始は先送りされるとの見方が強まっていた。第1四半期の米国のGDP(国内総生産)成長率は、4月29日発表の速報値で年率0.2%増と前期の同2.2%増から大きく鈍化。5月13日に発表された4月の米小売売上高が前月比横ばいと、市場予想に反し伸び悩んだ。
4月のFOMC(連邦公開市場委員会)声明では、現在の事実上のゼロ金利政策の解除(利上げ)にあたって、労働市場の情勢を示す指標や、インフレ圧力やインフレ見通しの指標、金融市場の状態や国際情勢を含めた幅広い情報を考慮して判断していくとの説明を維持していた。第1四半期だけでなく4月になっても米景気に力強さがみられないのであれば、FRBは利上げ開始を先送りすると考えるのが自然である。
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