円安は年内128円まで、130円にはならない

値動きのパターンから予測するドル円相場

こうした利上げ先送り観測が後退したきっかけは、サンフランシスコ連銀が5月18日に公表した論文だ。同論文は、第1四半期の米国のGDP成長率は季節調整が不十分なために過度に押し下げられていると指摘。季節調整を2度かけることで季節性を取り除くと、第1四半期のGDP成長率は年率1.8%増になるとの推計結果が示された。同論文に関する報道が広がると、ドル円は4営業日ぶりに120円台に回復した。

その後、FRBのイエレン議長は5月22日の講演で、年内のいずれかの時点で利上げに着手し、金融政策の正常化プロセスを開始するのが妥当と考えると明言。また、フィッシャー副議長は25日の講演で、2018年末には政策金利が3.25~4.00%の水準に上昇するだろうとの見通しを示した。FOMCに大きな影響力を及ぼすFRB議長、副議長の両者が、金融政策の正常化(事実上のゼロ金利政策から脱却し、政策金利を一定の水準に引き上げること)に対し強い意欲を示せば、市場は利上げ開始観測を強めざるをえない。

日本側から円安を進める材料は出にくい

黒田総裁の発言から、日本銀行の追加緩和観測は遠のいている(撮影:尾形文繁)

しかし今回のドルの対円での上昇トレンド((2)のパターン)はすでに終了したと思われる。

一部で期待の強い日本銀行の追加緩和は当面、見送られる可能性が高いほか、日本政府の関係者からは、急ピッチな円安を警戒する姿勢が示されている。日本サイドから円安材料が出にくい以上、ドルが対円でさらに上昇することは見込みにくい。

ドル円は6月2日午前に1ドル=125円台を一瞬付けたが、すぐに反落。本稿執筆時点(6月3日東京市場)では124円ちょうど近辺でのもみ合いが続いている。

6月5日に発表される5月の米雇用統計が無難な結果となれば、ドル円は6月のFOMCまでは(1)のレンジ内での推移というパターンを続けるとみるべきだ。新しいレンジは1ドル=122~125円と想定される。

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