2016年中盤には「1ドル130円」を超える 通貨ストラテジストの村田雅志氏に聞く

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
円安、円高はなぜ起こる? 通貨の需給を動かす要因として「実需」「実需期待」「政府・中銀」「テクニカル」の4つを取り上げて解説。為替市場を分析・予想するプロが実践している考え方を大公開

ドル円の相場は、7月中旬以降は1ドル=124円ちょうどを挟み、1円程度の幅で上下する、方向感のない動きが続いています。

一般に、為替、株式、債券といった金融市場において値動きが一定の方向性を示さない場合、取引材料が乏しいことが多いのですが、現在のドル円相場は、むしろ取引材料が多く、ドル円を上昇させる(ドル買い・円売りを促す)材料と、下落させる(ドル売り・円買い)材料が錯綜する展開となっています。

ドル円の上昇材料として筆頭に挙げられるのが、年内とされているFRBによる利上げ開始観測です。2008年12月から続いてきた米国のゼロ金利政策が終了し、米国の政策金利であるFF(フェデラルファンド金利)が引き上げられれば、米国債利回りは上昇し、ドル買いの動きが強まると連想されます。

日銀が再び追加緩和に動くとの思惑が強まっている

日本銀行による追加緩和期待もドル円の下落を抑える効果をもちます。日銀は2013年4月に「異次元」の異名をとる量的・質的金融緩和(QQE)を開始。2014年10月には原油価格の下落を理由に追加緩和も実施して、円売りの動き(ドル円の上昇)を後押ししました。しかし日銀が目指す物価上昇率2%のインフレ目標は、依然として達成できないままです。日銀・黒田東彦総裁は、来年度(2016年度)前半には目標が達成できるとしていますが、足元では原油価格が再び下落しており、目標の達成はますます困難になりつつあります。そこで、日銀が再び追加緩和に動くとの思惑が強まっています。

テクニカル分析の観点でみると、ドル円のトレンド(方向性)を示すとされる200日移動平均線が上昇を続けていることも忘れてはなりません。2012年12月から始まったアベノミクス相場において、ドル円は200日移動平均線を大きく下回ったことはなく、今年に入ってから、ドル円の200日移動平均は上昇基調で推移しており、2015年8月6日に120円20銭近辺と、節目とされる120円を超えています。

次ページドル円の上昇を抑制する要因
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事