「え!」と思わせるキャッチコピーをつけるコツ 流行は「いい違和感と奥行き」でできている
その他にも、99セントで購入した置物に「その置物の作家の父にまつわるフィクション」をつけて売ったら62ドルになったという話もある。言葉だけで価値が60倍にもなる。それがストーリーの力だ。もちろん噓はいけないが、ストーリーは「欲しい」という思いを加速させ、広げる力を持っている。
例えばファッションブランドのエルメスは「馬具メーカーが始まりなので皮の扱いは超一流」「グレース・ケリーなど有名女優も愛用した」「一度買えば一生直してくれる」などさまざまなストーリーを持っていて、それらが人から人へと伝播し、超一流ブランドとしての地位を築いている。
ルイ・ヴィトンは新進気鋭のファッションデザイナーであったマーク・ジェイコブズやヴァージル・アブローをクリエイティブ・ディレクターに招いたことで、革新的なデザインストーリーをブランドに取り込み、一気に最高ランクにまで駆け上がった。
手にしたい衝動、語りたくなるような物語
日本ではAKBが「会いに行けるアイドル」を基軸に、買えば会える『握手券』や自分も参加できる『総選挙』というストーリーでファンの心を摑んだし、木村拓哉さんがドラマの撮影で着るとそのジャケットの売上が伸び、世界に数百台しかない吊り編み機で1時間に1mのスピードで丁寧に編み上げた極上のスウェットと聞けば飛ぶように売れる。
それは立ち止まらせる力のある「違和感」と引き込まれる「奥行き」があり、結果的に「欲しくなり、話したくなる」からだ。
今や全米No.1 の靴流通メーカーとなったZapposのストーリーもすごい。まず「何度でも返品OK」は当時のD2Cでは異例だったし、亡くなった母の靴の返品に対し「お悔やみの花束を贈る」という神対応のカスタマーサービスも大評判となった。
リピート率75 %という奇跡の数字もこれらのストーリーが拡散した効果だ。
ストーリーとは商品やサービスに興味が生まれ、手にしたい衝動に駆られ、手にした時に語りたくなるような物語すべてを指す。そこに定型はなく、時代によってもブランドによっても変化する。
今や世の中は多種多様なカタチのストーリーで溢れ、その中で僕たちは生きている。まさにモノを売るのではなく、モノがたりを売る時代―それを意識するか否かで仕事は大きく変わるだろう。
「欲しくなり、話したくなるモノがたり」があると、仕事は広がり商品は売れる。
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