出生順位別の合計特殊出生率の長期推移をみれば、現状の出生数の減少が「一人目が産まれてこない問題」であることが明らかになります。
以下のグラフは、第2次ベビーブーム期から2022年までの、第一子の出生率と第二子以降の合計出生率とを比較したものです。
一目瞭然ですが、基本的には第一子出生率よりも第二子以降出生率のほうが上回っています。つまり、第一子を産めば、少なくともそれと同等以上の第二子以降が誕生しているわけです。
ただし、第二子以降出生率が大きく下がった時期がいくつかあります。ひとつは、1974年以降で、第一子の低下よりも先に第二子以降が減っています。これは、当時、政府が「子どもは2人まで」政策というのを掲げ、むしろ多産を抑制する方向に舵を切ったことが大きく影響しています(参照→日本で「子どもは2人まで」宣言が出ていた衝撃)。
第一子の出生率の回復こそが出生数や出生率を改善する
さらに、バブル崩壊後の1990年代初頭から就職氷河期にあたる2005年にかけて、第一子出生率はほぼ変わらないのに、第二子以降出生率だけが激減しています。
確かに、この時期においては、「少子化とは第二子や第三子が生まれない問題」であったでしょう。この時期においては、子育て支援の拡充などで夫婦の子どもの数を増やすという方向は間違ってはいません。しかし、その中でも、第二子以降の出生率が第一子出生率を下回ったことは一度もありません。
2006年以降から2015年にかけては、第一子出生率の回復とともにやや遅れて第二子以降出生率も上昇に転じています。勘違いしてはいけないのは、これは別に政府の少子化対策が奏功したわけではありません、1970年代初頭に第二次ベビーブームで生まれた人口の多い団塊ジュニア世代がちょうど30代後半を迎える頃で、ある意味駆け込み的に結婚・出産をした時期と重なるためです。
全体的に言えることは、基本的に第一子の出生率の回復こそが出生数や出生率を改善する大きなポイントであることがわかります。
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