年齢が同じくらいの中から相手を探すといっても、20代のうちにある程度の経済力のある層は限られていて、婚活をしても結局「希望する相手がいない」まま20代を通り過ぎ、気付いたときには「無理に年収の低い人と結婚しなくても独身のままでいいかな」というモードに入ってしまう場合も多いでしょう。
「マッチングアプリ」で婚活支援は的外れ
そんな中、東京都が独自の「マッチングアプリ」の開発を進めるという話や、政府も少子化対策の一環として、「若者のライフデザインや出会いの支援」、いわゆる婚活支援に乗り出す方針であることなどが報道されていましたが、これもまた的外れと言わざるを得ません。
少子化の問題は婚姻数の減少であるという事実認識と若い人の婚姻を支援する必要があるという課題の抽出までは間違っていませんが、大事なのは「婚活支援」ではなく「若者が若者のうちに結婚して家族を持てると思える環境支援」のほうです。
そして、その環境のもっとも比重の大きい部分は経済環境です。経済環境が芳しくないがゆえに、若者は現在や将来に対する漠然とした不安を抱えるわけで、その不安があるためになるべくリスクを冒さないようにしようという行動萎縮の心理が働きます。
実際、従業員1000人以上規模の大企業や公務員の未婚率は高くありません。将来の不安もなく、経済的にゆとりのある若者は結婚も出産もできている。そうした現状を正確にとらえ、表面的な「支援をやってる感」の対策ではなく、実質可処分所得をあげて、中間層の若者の心の余裕を整えることこそ必要だと思います。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら