消費者庁が激オコ「激安居酒屋チェーン」の実態 名物皮串は50円(55円)から、「新時代」とは?

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他にも、塩ダレキャベツや、豚のピリ辛胡麻シャブなどを頼み、〆に卵かけご飯も頼む。どれも、普通においしく食べられた。また、ドリンクはそれぞれ2杯ずつの計4杯。

これで総額、4004円。一人2000円である。

新時代
「お通し代」は1人あたり350円(厳密には385円)ほどかかるが、都心の飲食店は今やだいたいどこもそうだ(筆者撮影)

おお、安い、と感じた。値段と飲食物の質と合わせれば、かなりコスパがよいのではないか。それが、正直な感想だった。

「景品表示法違反」の裏にある「新時代らしさ」

そんな「新時代」だが、今回の景品表示法違反の勧告では、何が指摘されたのか。

ざっくりいえば、税抜価格と税込価格の混同があったのだ。消費者庁の発表によれば、食べログ上などで、「伝串50円」とだけ表示されていたという。実際は税込「55円」にもかかわらず、あたかも税抜価格が本当の値段であるかのように表示されてしまっていた。いわゆる、「有利誤認表示」というやつで、この表示は2020年8月以降、全国113店舗のうち、105店舗で行われていた。景品表示法では、必ず税込の値段をどこかに書かなければならないのだ。

有利誤認表示での指導は、他店でも例がある。

例えば、回転寿司チェーンとして知られる「スシロー」は2022年に2回、この項目での指導を受けている。カニやウニなどが品切れにもかかわらず、テレビCMなどで宣伝を続けていたことに対する指導。そして、「生ビール半額キャンペーン」をキャンペーン開始前に告知してしまったことで、続けての指導が入ったのである。

なるべくお得感を前面に押し出して顧客を引き寄せたい企業側にとって、こうした広告のラインは常に、ルールとのせめぎ合いだ。その意味で、こうした景品表示法違反での注意自体は珍しいものではない。

しかし、今回の件は「新時代」という店の「あり方」と深く関わっている。もっといえば、なぜ「新時代」がここまでシェアを広げるに至ったのか、その理由が、この一件から見えてくる。

というのも、新時代という店自体が、ある種の「いかがわしさ」を、店の一つの魅力にしているからだ。

例えば、冒頭にも紹介した店の看板だ。「伝串50円」「生ビール190円」とデカデカと書いてある。

新時代
一見「50円」「190円」と書いているように見えるが…(筆者撮影)
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