退路を断った今福さんは、自身の劣等感を払拭するためにオーストラリアの高校に正規の学生として入学します。しかし、気合を入れて勉強を続けていたものの、次第に学校に通わなくなってしまいました。
「オーストラリアの高校には合計3校通いました。日本の高校を辞めたので、当時はなんとしても現地のアデレード大学に入ろうと思っていました。しかし、ただでさえわからない英語で現地の学生と同じ授業を受けるので、全然ついていけませんでした。
勉強で求められることも日本とは全然違います。オーストラリアの定期考査は筆記試験が論文(レポート)形式で、『時間内に◯◯についてあなたの意見を論じなさい』という内容が多かったのです。
僕は、正解がある日本式の思考法・勉強法に慣れてしまっていて、頭で考えている日本語が英語に変換できず、『幼稚園児みたいな英語でしか書けない自分が恥ずかしい』と思い込んでしまいました。それで成績が落ち込んだことが原因で、不登校気味になってしまったのです。またしても、安っぽいプライドが邪魔したのです」
結局、「勉強をやろうとするたびに壁にぶち当たって授業や試験をサボる1年半を過ごした」と語る今福さん。
最終的に現地の移民局から学校に行っていないことを不審に思われ、学生ビザの要件を満たせなくなり、強制的に高校を退学し、日本に帰国することになりました。
裏切りに親に泣かれてしまった
オーストラリアに渡った2年生の3学期から2年半。今福さんは2浪目の年の11月に日本に戻ってきたのです。
日本に戻った今福さんは、親の様子を見て、とても悔しい思いをしたことを振り返ります。
「高校を退学したときは、絶対に向こうの学校を卒業すると言って納得してもらったのに、僕は裏切ってしまいました。親にはギャンギャン泣かれてしまいましたね。
自分が留学している噂が周囲に回っていたので、親からしたら『どの面下げて帰ってきた』という感じだったのでしょう。
そこから親に『高校だけは卒業しといてほしい』と言われ、伝習館高校の定時制に通うようになりました。僕は高卒認定を受けて大学受験をしたいと伝えていたのですが、もう何度も(親を)裏切っているので信用されてなかったんです」
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