東洋経済オンラインとは
キャリア・教育

五輪で物議「マリー・アントワネット」名言の真偽 「パンがないならお菓子食べれば~」は捏造?

5分で読める
  • 真山 知幸 伝記作家、偉人研究家、芸術修士(MFA)
2/3 PAGES
3/3 PAGES

そんな葛藤の末、ルソーはこんな心境に至ったのだという。

「さる高貴な妃(王女)が、『農民にはパンがありません』と言われ、『ブリオッシュを食べればいいわ』と答えたのを思い出した」

ルソーは、 ブリオッシュを食べながら、ワインを飲み始めたのだった。

この「さる高貴な妃」がまさにマリー・アントワネットではないか、と言いたいところだが、彼女が生まれるのはこれから15年後の1755年。

つまり、アントワネットが生まれる以前から、この言い回しは、庶民の苦しみを知らない高貴な者たちへの皮肉として使われていたのである。

アントワネットには、ふだんから彼女に嫉妬する貴族が少なくなかった。また王権に対する勢力も、彼女の悪評をこぞってパリに流したが、そのほとんどがデマや誇張であったことが近年は明らかになってきている。

この有名な言葉も、彼女を悪役にするために語られた、多くのデマの1つと言えるだろう。

国の財政難に陥れた戦犯とされているが…

『ざんねんな偉人伝』(学研プラス)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

フランス革命によって、ルイ16世とともに、断首台に送られることとなったマリー・アントワネット。

国を財政難に陥れた戦犯とさえされているが、いくらアントワネットが権勢をふるったとしても、たった1人でフランス財政が傾くはずがない。ルイ16世の即位前から、国家財政は破綻していた。

また、フランス政府としても飢饉対策を全くしていなかったわけではなかった。ルイ16世は、穀物不足を受けて、ジャガイモの栽培を定着させようとしていた。そのために、パーティのときには、いつも妻のアントワネットの胸にジャガイモの花を着けさせ、彼女自身もジャガイモを愛したと伝えられている。

プチ・トリアノン宮殿が与えられると、子どもたちと遊びながら、飾らない生活を送ったアントワネット。残念な誤解ばかりがなされてきたが、よき母親の一面もあった。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

キャリア・教育

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象