世代間論争で得をするのは金持ちの若者--『就職、絶望期』を書いた海老原嗣生氏(「ニッチモ」代表取締役)に聞く

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世代間論争で得をするのは金持ちの若者--『就職、絶望期』を書いた海老原嗣生氏(「ニッチモ」代表取締役)に聞く

本書の宣伝帯には「就活批判、中高年叩き、欧米礼賛─。安易な議論と税金バラ撒きの末に“絶望期”がやって来る!」と刺激的なフレーズが並ぶ。雇用問題で論争的な書をいくつも生み出してきた人事の専門家は、世の誤解を解こうと、ここでも奮闘している。

──雇用や就職について、不十分な知識で発言する人が多すぎると書かれています。

タレント活動も行う脳科学者や有名な女性経済評論家も、若者の就職や雇用について積極的に発言しているが、実情をよく知らないようだ。とりわけ就職に関してはほとんど知識がない。就職活動をしたことがない、採用する立場から考えたこともないという人が、有識者の立場で発言している。

たとえば、日本の新卒一括採用について、マイナス面ばかり論じるが、プラス面については考えようともしない。欧米の一流企業でも、一括採用をやっているところがある。総じて、日本型雇用について、無批判に悪いものだという思い込みが強すぎる。そこに違和感がある。

──これまでの著作(『雇用の常識「本当に見えるウソ」』など)でも、日本型雇用批判に反論をしてきました。

日本は世界の異端だ、日本は遅れているという論調は、1960年代から50年以上続いている。年功序列への批判はこの頃からあった。しかし、年功序列に限らず、皆が日本型だと思っているものが本当にそうなのか、真剣に見てものを言っているのかどうか。もし不合理だとしたら、なぜそんな不合理な制度を企業は続けているのか。そこをきちんと考えないと、議論が深まらない。経済学者も含め、いいかげんな知識では論じてもらいたくないという思いで、本書を書いた。

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