世代間論争で得をするのは金持ちの若者--『就職、絶望期』を書いた海老原嗣生氏(「ニッチモ」代表取締役)に聞く


──雇用拡大の名目の下、効果の期待できない政策が導入されていると批判されています。

厚生労働省が導入してきた雇用・人材育成事業には、効果のないものが多い。就労支援の名目で、厚労省系の団体である「中央職業能力開発協会」や「雇用・能力開発機構」にカネが流れる仕組みを作っている。厚労省は、非正規をめぐる問題でも世の中の誤解、過誤を利用して、事業を行っている。

新卒一括採用への批判に対応して、既卒3年目までを新卒扱いで採用した企業には、助成金を出す制度ができた。しかし、こんなものがなくても、中小企業の求人はいくらでもあるし、中小企業は今でも多くの既卒者を採っている。こうしたやり方には、仕事内容や待遇の悪い「ブラック企業」が、助成金目当てに飛びつく可能性が高い。

── 一連の行政の施策でいちばんダメなのは?

インターンシップで、厚労省と経済産業省がそれぞれ助成事業を行ったが、厚労省のには応募者が20人、経産省のには5000人もあった。厚労省の事業はハローワーク利用者に限定され、企業側にもさまざまな制約があって使いづらい。対して経産省の事業は、形はインターンシップだが、就職応援の目的をはっきりさせ、採用意欲のある企業に限定している。学生にも日当を出した。

ここからわかるのは、学生が中小企業に振り向くような政策にしないといけないということだ。企業にカネを配るのではなく、学生に配るくらいの発想の転換がいる。

──雇用や社会保障では、中高年が若者の敵として見られています。しかし、本当はそうではないという立場ですね。

世代間格差は特に年金でいわれている。「若者は支払総額の2・3倍しか年金をもらえないが、今の70歳は6・5倍ももらえる」とやり玉に挙がる。厚労省のこの数字に間違いはないだろうが、では高齢者が十分な年金を受け取っているかといえばそうでもない。年金の平均は月10万円程度にしかすぎない。

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