「コロナと夏かぜ流行中」何が起きているのか ワクチンを打っている人、打ってない人の違い
手足口病は、エコーウイルス、コクサッキーウイルスなどのエンテロウイルス(口を経て腸管から感染するウイルスの総称)が原因の代表的な夏かぜであり、今年大流行している。コロナ禍の最中は人々が他者への接触を避けたこと、国内外への人の流れが止まったためウイルスの流通が妨げられ、流行しなかった。
赤みを伴った水泡ができる「手足口病」
今は人々の行動がコロナ禍以前に戻り、海外との往来が回復した。数年間流行しなかったことで、ウイルスに感染したことのない子どもが増え、また過去に感染したことのある人でも免疫力が低下し、発病する人が増えている。また、手足口病の揺り戻しは全世界的に起きており、毒性の強いウイルスが入ってきている可能性がある。
手足口病の典型的な症状は38〜39℃の高熱とのどの痛みだ。この時点では風邪と見分けがつかない。2〜3日すると唇やのどの口蓋垂(のどちんこ)の周り、指先〜肘のあたり、足の裏などに赤みを伴った水泡ができる。
口の中やのどにできた水泡は容易に破れて潰瘍となり、強い痛みを生じる。水を飲んでも沁みるし、ご飯など固形物を食べると物理的な刺激によって強い痛みを生じる。酸っぱいものや辛いものなどもってのほかだ。口から水分や栄養を摂れなくなれば、点滴をする必要があり、場合によっては入院が必要となる。
指先や足の裏の水泡は皮が厚いため、容易には破れない。しかし足の裏の水泡は歩くと強い痛みを生じるため、苦痛が大きい。水泡は数日のうちに赤みがなくなり、だんだん茶色くなり、やがて皮が剥けて治る。痛みには鎮痛剤の内服で対処するが、効果は薄い。
同じウイルスが起こす感染症でヘルパンギーナも夏に流行する。これは手や足の水疱を欠く手足口病と考えていい。口の中、のどの痛みは同様につらい。
ごく稀だが、エコーウイルスやコクサッキーウイルスは心臓の筋肉にも感染し、急性心筋炎を起こすことがある。心臓の機能が急激に低下し、致命的となることがある。胸部の不快感や気分不良、立ちくらみなどの症状が表れた場合は救急病院への受診が必要となる。これらのウイルスに対するワクチンはなく、ウイルスの増殖を妨げる特効薬もないため、嵐が過ぎるのをおとなしく待つしかない。
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