配偶者を失ったり、解雇されたりするなど、慣例的に最もネガティブな人生の出来事でさえ、ときには再出発のきっかけになる場合がある。破壊的要因とは、単なる日常生活からの逸脱なのだ。
私は225編の人生の物語をすべて細かく調べ、人々の人生を有意義な方向に転換させた出来事のマスターリストを作成した。それらの出来事は、結婚から年老いた親の介護まで、解雇からセクシャルハラスメントまで、一夜にして得た名声から公の場での屈辱まで多岐にわたり、破壊的要因の数は全部で52にのぼった。
これは52枚のトランプカード1組を連想させるため、私はこのマスターリストを人生の破壊的要因ワンセットと呼ぶことにした。
私はさらにこのリストを、会話のなかで明確になったおよそ5つのストーリー展開ごとに分類すると、破壊的要素が多いのは、愛、アイデンティティ、信念、仕事、身体という順番になった。
家族や人間関係という大きな領域として定義される愛は全体の35パーセントを占め、そこには明らかに複数の破壊的要素が見られた。残りはすべて10パーセント台にまとまった。
1年から1年半ごとに訪れる転機
では、私たちはそれぞれ、どれほどの数の破壊的要因に出会うのだろう?
公的なデータと自分のインタビューを調べ、この2種類の数値を重ね合わせると、明白かつとんでもない経験則が現れる。
「人は平均して、およそ1年から1年半ごとに、ひとつの破壊的要因に遭遇する」
この発見を第三者に伝えると、彼らは最初に本当? と声を上げ、続いてそうかもねと頷いた。つまりショックとともに、それを受け入れようとする態度を示したのである。
線形人生という名の幽霊に取り憑かれているというのが、今の私たちの姿だと私は信じている。人生は予測可能な道をたどると思い込むため、そうならないと困惑してしまう。
期待する人生は線形だが、現実は非線形なのだ。ある分野は線形である(例えば安定したキャリアを築いたり、長い結婚生活を営んでいたりする)人も、他の分野は非線形だったり(例えば健康問題が再燃したり、宗教的アイデンティティを頻繁に変えたり)する。
私が話したほぼ全員が、人生の少なくともひとつの側面は予定通りに運ばなかったり、進路から逸脱したり、同時発生したり、順序が狂ったりしたと語った。