データを意図的に悪用して解釈を歪める4つの例 グラフ作成者の意図にハマらない判断力を磨く

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一方で、右のグラフのようにスケールを身長150cmからスタートすることで、対象の6年間において右肩上がりで身長が伸びているように印象を操作することができてしまうのです。棒の長さで値の大きさを表現する棒グラフは、原点から開始することを目的としたグラフの可視化方法であり、右のグラフのようにスケールを途中から開始することは、本来のグラフの目的から考えて誤っているのです。

可視化の力を悪用して意図的な解釈を生み出す

最後に、さらに悪意があると考えられるグラフによって、グラフを見る人の解釈を意図的に変えている例を紹介します。ぜひ、このような広告に出合ったとしても、グラフ作成者の意図にハマらない判断力をつけて欲しいと思います。

グラフの解釈を意図的に変えている例
グラフの解釈を意図的に変えている例
①軸が不均等な間隔で配置されているグラフ

グラフの目盛が不均等な間隔で配置されている場合、実際のデータの変化よりも大きく見えたり小さく見えたりすることがあります。このようなグラフを悪用して、本来は効果の小さいものを、大きく見せているグラフが存在します。

②歪んだ形の円グラフ

円グラフの場合も注意が必要です。円の面積で数値の大小を表現する円グラフですが、円の形を楕円や歪んだ形にすることで、グラフを見る人の印象を操作する例が存在します。このような、円グラフを確認するときは、グラフの面積だけではなく、数値そのものをしっかり確認して、正しく理解することが重要です。

③連続増加に見せる恣意的な3Dグラフ

3Dグラフを用いることで、実際の数値に対するイメージを恣意的に補正する方法です。Excelなどによるグラフ作成において、よりグラフィックスを強調した3Dグラフを簡単に作成することができるようになりました。一方で、3Dグラフを利用するときや3Dグラフによって表現された資料を確認する際には注意が必要です。3Dグラフによる遠近法を活用しグラフの大きさを調整することで、実際には連続増加ではないにもかかわらず、連続増加に見せるなど、グラフ作成者の恣意的な見せ方に惑わされない力が必要になります。

④恣意的な縮尺グラフやその組み合わせ

最後に紹介するのが、グラフの縮尺や軸の幅を調整することで、グラフ作成者の主張を恣意的に強調するパターンです。軸の幅を調整することで、傾きを強調したり、全く異なるグラフを2本組み合わせることで、恣意的にグラフ作成者の主張をより強く見せる方法です。

藤田 一樹 NRIデジタル シニアデータサイエンティスト

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ふじた かずき / Kazuki Fujita

2016年、株式会社野村総合研究所(NRI)入社。データサイエンティストとして、AIによる需要予測を活用した「AI発注システム」のPoCからシステム開発を担当。21年、NRIデジタル株式会社に出向し、「AI・データサイエンス×システム開発」領域を中心に、次世代AIシステム導入のコンサルティングから、データサイエンス、プロジェクトマネジメント、システム開発など多数のプロジェクトで活躍。また、NRIグループの認定データサイエンティストとして、社内のデータサイエンティスト育成も担当。Google Cloud Partner Top Engineer 2024受賞。

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