ルネサス閉鎖工場の復活に元社員「複雑な気持ち」 甲府工場が10年ぶりに再稼働、地元の反応は?

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冒頭の男性が続ける。「閉鎖される直前にルネサスが出した計画では、甲府は残されることになっていた。それが土壇場でひっくり返されたことには今でも煮え切らない思いがあります」。

閉鎖後は当然、ルネサスの全従業員は撤退。日立時代から地元住民に愛されていた近所の食品スーパーも数年前に営業を終了した。地元経済がいかにルネサスの工場に支えられていたかがうかがい知れる。

パワー半導体の生産能力を増強

甲府工場で製造するのは、電力の制御を担うパワー半導体。EV(電気自動車)向けに加えて、多くの電力を使うデータセンター向けにも需要が高まっている。投資額は約900億円で、2025年1月から量産を始める予定だ。

閉鎖直前まで新棟の建設は行われており、閉鎖以降も取り壊されることなく建屋が残っていた。今回の再稼働で活用するのはその製造棟だ。経済産業省から「特定重要物資の供給確保計画」にも認定され、投資の助成も受ける。この工場の稼働で、ルネサスはパワー半導体生産能力を現状の2倍に増強する。

今年5月に行われた会見では山梨県の長田公副知事も駆けつけ、地元経済への影響を歓迎した。甲府工場の再稼働から見えてくるのは、半導体企業の栄枯盛衰とその決定に翻弄される地域の姿だ。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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