教員等の「性犯罪確認する法律」で被害は防げるか どうやって確認するか?残された課題もある

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振り返ると、2020年に起こったベビーシッターによる小児わいせつ事件(5~11歳の男児計20人に4年4カ月にわたって、わいせつ行為を行っていたもの)などをきっかけに、こうした問題が取り沙汰され、いくつかの対策は講じられてはきた。

例えば、2021年には議員立法で「わいせつ教員対策法」が成立。わいせつ行為が発覚した教員の教員免許取り消しが可能になったし、2022年には児童福祉法改正により、保育士の登録取り消しが認められた。

しかし、こうした規制強化をすりぬけて、わいせつ教員や保育士が、学校や保育園以外の現場、例えば学童保育や学習塾、スイミングスクールなどで「横滑り」して働くことを防ぐことはできなかった。

先の記者会見に同席した学習塾「花まる学習会」代表の高濱正伸さんは自身の経験を踏まえ、「過去に子どもの前で下半身を露出した講師がいた。本人が認めたので辞めてもらったが、後日、地方を変えて学校の先生をやり続けていると聞いた。そんなことが許されていいのか」と、憤りをあらわにした。

子どもへの性犯罪データは氷山の一角

ところで、どれくらい日本では子どもへの性犯罪が起こっているのだろうか。警察庁のデータによると、12歳以下の子どもに対する性犯罪は、年間1000件ほどとされる。

さらに別の調査によると、令和4年度に公立の幼稚園、小中学校で性犯罪・性暴力などにより懲戒処分などを受けた教職員の数は、242人。調査が違うので単純に割合を示すことはできないが、子どもへの性犯罪の何割かは、保育や教育現場で起こっていることは確かだ。

※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

しかも、「これは氷山の一角でしかない」と赤坂さんは言う。

「なぜなら、子どものなかには自分が性被害に遭ったことを、すぐに認識できない子もたくさんいます。また、被害に遭ったことを親が警察に相談するのはハードルが高く、実際、多くのケースはそこまで至らないという事実もあります」

今回、成立した日本版DBSでは、どのようなしくみで性犯罪の犯歴をチェックするのか見ていきたい。

まず、事業者(保育園や学校、学童保育、学習塾など)は、これから仕事に就く者に性犯罪の前科があるかどうかを確認するため、こども家庭庁に申請する。併せて就業予定者も、自身の戸籍の情報などをこども家庭庁に提出する。

それを受けて、こども家庭庁は犯歴の有無を法務省に照会する。犯歴がなければ、そのまま通知があり、就業予定者は仕事に就くことができる。

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