風雲急!ミラーレス一眼デジカメ戦争 “2強”の対応分かれる
実は同業他社では、コンパクトを展開する富士フイルムホールディングスも、来春発売に向けミラーレスの開発を進める。「投入を検討中であることは事実」(富士フイルム)。となれば、国内メーカーで参入表明していないのは、2社だけ。うち1社はアイデア重視の独自路線を標榜するカシオ計算機。ただカメラ事業は赤字続きで、開発費をつぎ込めない台所事情から、参入の公算は低い。
“洞ヶ峠”のキヤノン
注目は何と言っても、残りの1社。一眼レフ王者であるキヤノンの動向だ。
キヤノンは「デジタル一眼カメラの小型・軽量化のためミラーレスを含めた構造を研究中」とする。実際に「小型一眼」のプロジェクトチームで新製品開発が水面下で進行、関係者間では「来春にもミラーレスを投入するのではないか」とみられていた。
だがここに来て「キヤノンはミラーレスを出さないのではないか」(関係筋)との見方も急浮上。「ミラーを備えた小型軽量タイプの一眼レフ」という、ライバルより一歩先の製品開発を優先する可能性はあるようだ。
ミラーレスはファインダーをのぞいて撮影できない構造から、シャッタースピードが遅れる欠点があり、動く被写体などの本格撮影には不向きとされる。キヤノンがミラー搭載の小型一眼を発売するとなれば、小型軽量でかつ高い撮影能力も備えた、画期的な製品になるかもしれない。
そもそも、ミラーレスが売れている市場は、日本と韓国など一部地域に限定される。主要市場の欧米では認知度が低い。「世界では年間230万の販売台数でしかない(デジカメ販売合計の2%未満)。今後グローバルに拡大していくかは疑わしい」とテクノ・システム・リサーチの大森鉄男氏は分析する。