たとえば、読者の中には、CSRを「慈善事業」や「寄付活動」、「ボランティア」ととらえたり、コストとして本業以外で行うもの、利益は生み出さない活動と考えていたりする人もいるだろう。
また、CSRをコンプライアンスととらえ「法令順守は大切」と理解しているものの、それ以外の、たとえば「環境に関する活動」などは、企業が利益を出さなければ行えないと思っているかもしれない。
あるいは自社でCSR・環境報告書を発行しているのは知っていて、CSR部門も存在するが、それ以外はどのような活動をしているのか知らないという人も多そうだ。
CSRが浸透しない阻害要因がいくつもある
日本企業のように従業員のCSRへの理解が進んでいない理由として、社内で阻害要因が存在することが多い。一般的には、以下のような状態が考えられる。
このような状況にある理由は、「なぜCSRに取り組む必要があるのか」を企業トップ・取締役・経営陣、マネジャー、そして従業員それぞれが理解していないためである。
企業がCSRに取り組まないと、どのような状況に陥るリスクがあるのか。詳しくは過去の記事をご覧いただきたいが、企業の存続にかかわる可能性があることは理解する必要がある。
欧州のCSR先進企業では、CSRは担当部署だけが推進するのではなく、企業全体で行う必要があると理解されている。そして、トップ・取締役、CSR部門、その他部門の従業員がCSRの「概念・定義」について共通認識を持っている。社内で認識を共有することでCSR・サステナビリティ推進のベクトルが合っていくのだ。
北米と欧州に薬局チェーンを展開する「ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス」。2014年末に合併する前の「アライアンス・ブーツ」で、CSRグループヘッドとして長年活動を牽引してきたリチャード・エリス氏は、「CSR推進には、従業員のエンゲージメントが重要となる。従業員の専門知識を活用して、ビジネス全体でコスト効率のいいCSRに関する解決策を提供できるようになることが必要だ」と言う。
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