営業中の「会話の沈黙」を怖がってはいけないワケ お客さまの話をじっくり聞く「傾聴」が大切

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

心理学では、名前を呼ぶことは相手を承認するサインといわれています。つまり、「あなたの話をしっかり聞いていますよ」というメッセージを伝えていることになるのです。

人に話を聞いてもらえることは、誰にとってもうれしいこと。「この人は私の話を本気で聞いてくれている」と思うだけで、人は安心して「もっと話したい」という気持ちになるのです。

実際、お客さまの名前を呼びかけながら会話をしていると、「鈴木さんになら、何でも話して大丈夫かな」と、どんどん打ち解けてくれます。そんな会話を重ねているうちに、途中から「鈴木さん」から「誠さん」と下の名前で呼んでくれるようになったりすることも多くあります。

このように下の名前で呼ばれると、距離がぐっと縮まったのを実感でき、とてもうれしいものです。それくらい親しい関係になれたら、その後も引っ越しのたびにお部屋探しのお手伝いをしたり、別のお客さまを紹介してもらったりするようになります。

課題はどこにあるのか

部屋探しのヒアリングで、希望条件と同じくらい重要なのが、「なぜ引っ越したいのか」という理由です。「仕事の関係で」「収入がアップしたから」「隣がうるさいのが不満だから」などなど、その理由はさまざまです。

私はこの引っ越しを「人生をよりよい、幸せなものへと上昇させるチャンス」にしてもらいたい。そのためにも、今何が気になっているのか、不満はどこにあるのかを明らかにしておくことが重要です。

『正直営業のすすめ』書影
『正直営業のすすめ』(クロスメディア・パブリッシング)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

そのためには、まず、今住んでいる家の情報を正確に把握することからスタートします。

広さ、間取り、築年数、家賃……。なぜその家に住むことになったのかも質問します。もし、今の家に満足しているとしたら、それはなぜなのか。不満があるとしたら、どういうところなのか。数年前に家を契約したときの自分と、今の自分では何が変わったのか。

これらの情報を深掘りしていくと、人生という時間の流れの中でその人自身がどのように変化し、そして今後の人生に対してどのような想いを馳せているのかも見えてきます。それは次の部屋探しの重要なヒントです。

このように現状の課題とそれが生じた経緯を明らかにし、今後の展望を考えることは、過去と現在、未来を繋ぐことになります。あとはその線を繋ぐために、具体的に何をすればいいのかを考えて、提案をしていきます。

鈴木 誠 誠不動産 代表取締役
すずき まこと / Makoto Suzuki

1977年茨城県生まれ。高校卒業後、陸上自衛隊(朝霞駐屯地)に入隊。その後アパレル販売員を経て、不動産業界に転身。大手不動産仲介会社を経て独立。既存顧客の紹介を条件に物件案内をする完全紹介制で、ご縁のあったお客様に心を込めて全力で「住んだ後に幸せになっていただける空間」を提供している。お客様への徹底した心づかいが評判を呼び、芸能関係者やプロスポーツ選手など、紹介は途切れることがなく、物件内見数は25,000件以上、ご契約いただいたお客様は3,000組を超える。不動産仲介業界の健全な発展のために日夜尽力。本音で勝負する営業スタイルは「リアル正直不動産」とも呼ばれ、漫画『正直不動産』の取材協力もしている。日テレ「有吉ゼミ」不動産コーナーにも好評出演中。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事