営業中の「会話の沈黙」を怖がってはいけないワケ お客さまの話をじっくり聞く「傾聴」が大切

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正直営業のよさに気づいた頃、お客さまの話を聞くことの大事さを悟って、コーチングを学んで資格も取得しました。

残念ながら、今となっては学んだことをあまり覚えていないのですが、そのときの学びの中でも、傾聴が自分の中に無意識に残っていて、相手の話を聞く姿勢が身についているのかもしれません。

相手の話を聞くときに、つまずきやすいポイントとしてあるのが、「会話と会話の沈黙に耐えられない」ということです。相手が考え込んだりして時間の空白ができたとき。どうにかしてその時間を埋めようと、次々と質問を投げかけたり、自分の意見を話し始めたり……。

気持ちはわかりますが、その会話の沈黙を恐れないことから始めてみてください。

沈黙が生まれたら、それはとても価値がある時間なのです。その時間があることで、お互いがいったん冷静になって考えることができますから。

逆に沈黙を埋めようと焦ってしまうと、余計なことを言ってしまって相手が気分を害したり、冷めてしまったりもします。特に「とりあえず」とか「何でもいい」というように、焦って適当な言葉を口にするのはNGです。

焦りそうになったら、沈黙もお客さまの大切な時間であることを思い出してください。

会話は相手のペースに合わせる

人によって、会話のテンポや話すスピードはさまざまです。ゆっくりと話す相手に対してこちらが早口だと畳み掛けているようになりますし、話すテンポが速い人にはリズムよく受け答えすることで、話が盛り上がります。

自分のペースで話せると、お客さまも自然体でいられます。そんなリラックスした雰囲気だからこそ、住みたい家やどんな暮らしがしたいのかというイメージが具体的な言葉として出てくるのです。

お客さまに正直に希望を話してもらうために、私は普段から「安心して話せる場づくり」を心がけています。たとえば事務所のインテリアや照明、全体の色のトーンなどを落ち着いた空間にすると同時に、会話で違和感を感じさせないようにしています。

数ある工夫の中でも、とくに安心感を与えるのが、「急いで決めなくていいですよ」という一言。「住む物件で人生が変わります。ですから、そんな簡単に決める必要はありません」ということは、どのお客さまにも必ず丁寧にお伝えするようにしています。

「ここに住んだら、絶対に気持ちがいい生活が送れる」と、お客さまも私もピンとくる物件に出会えたとき、初めて決断すればいいのです。それを最初にしっかり共有しておくことで、お客さまも「今の自分にとってベストな家をじっくり探せばいい」という安心感が持てます。

お客さまに安心感を持ってもらう、心の扉を開いてもらうために、意識しているのは、会話の中でなるべく相手の名前を呼ぶということです。

「田中さんは、どんな家に住みたいと思っていますか?」

「田中さんが絶対譲りたくない家の条件はなんですか?」

というような感じです。

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