東芝・田中前社長が就任時に語っていたこと 2013年の就任時に掲げたミッションとは?
――すでに副社長時代から戦略企画にかかわっていらっしゃったと思いますが、現在、策定中の新中期経営計画には、新社長の色をどの程度まで出せそうですか。
昨年11月ごろ、全グループの役員を集めて土曜日に1日がかりで新中期経営計画について議論しました。過去を振り返ると、3年間だけを見通して計画を立てると当たらないことが結構多いことから、もう少し先の2020年までを見通して、世の中あるいは世界、社会がどう変わるかということを基礎に置いて、その中で今後3年間がどうなるかを話し合ったのです。
その結果、大きく4つのテーマが出てきました。まず、世界的に人口の増加や都市化の進行に伴って、毎年、膨大な量のエネルギーが必要になる。一方、先進国は高齢化や少子化の問題を抱えている。そして限られた地球資源あるいは環境という問題に加えて、ビッグデータです。
これら4つの大きなテーマを、東芝グループが持っている能力でどう課題解決をしていくのか。昨年も佐々木前社長が申し上げましたが、効率的にエネルギーを作って送り、使う「エネルギーイノベーション」があります。ビッグデータに関しては、「トータルストレージイノベーション」とわれわれが呼んでいますが、ストレージ(外部記憶装置)だけでなく、ビッグデータに関連するクラウドやストレージ、それら全体をスマートコミュニティと打ち出しています。
基本的にはこれらを踏襲する形で、新中計については8月初旬にお話させていただきます。ただし、それでは今までと変わらないので少し追加して、いくつか注力してやる分野を明確にするという格好です。ぜひご期待をいただけたらと考えています。
――その新中計に、西田会長の意見は入っていない?
ない。今、作っている最中で大体を固めましたが、私は西田会長に相談していません。
――やりにくさは感じていませんか?
まったくないですね。東芝は委員会設置会社で、執行側と監督側が明確に分かれています。ここはご理解いただきたいですね。僕が言うとあれですが、(トップが)2人いるとかね、まったく感じていませんし、懸念は持っていません。
――それでも元上司と部下として、さらには同じ東芝グループを背負う立場として、個人的に相談することは普通にあるのでは?
個人的な相談は、会長だろうが副会長だろうが部下だろうがあります。普通に一般的なディスカッションはやっていますから。「こうしろ、ああしろ」ということはないですね。言われても、私の意見と違っていれば考慮に入れません。私の執行は、私の考えでやります。